我が家は別居婚5年目、私と子供がドイツ、夫が日本という、なかなかレアなパターンであります。しかも国際結婚ではなく、夫婦2人とも日本人。
我が家は仕事の都合で一家揃ってドイツへ来ました。8年間家族で暮らしたあと、仕事の都合で夫だけ日本へ帰国することになりました。
私は子供をそのままドイツの学校へ通わせるために母子でベルリンに残り、別居婚という形を取った次第です。
と、ここまで説明すると大抵驚かれ、どうやって暮らしてるの?お父さんと離れて暮らしてお子さんは大丈夫?と聞かれることも少なくありません。最近はうらやましがられることが増えましたが。
私たちは恋人時代から遠距離恋愛をしていました。結婚してからもお互いに出張だらけでしたので、恋人時代6年 + 結婚生活20年のうち、寝食を共にしたのは半分以下。つまり別居生活のプロであります。
国をまたいだ別居生活も気がついたら5年。コロナ禍でまるまる2年間会えない時期もありましたが、夫婦関係はずっと良好です。
今回は、別居婚をしている私たち夫婦の本音と、メリット・デメリット、子供の状況なんかを書いてみようと思います。
別居婚を取り巻く環境
ある日の会話
連休を使ってベルリンへ来ていた夫と、こんな会話をしました。
そんな平和な会話をしておりました。で、最後に結婚して良かったね、で締めくくりです。
ですが、会話にも出てきたように「遠距離恋愛中です」とか、「夫と離れて暮らしています」などと言うと、要らんことを言ってくる輩が少なからず湧いてくるのですよ。
別居婚は外野がうるさい
独身時代、遠距離恋愛だと言うと「あ、それ別れるね」とか。「男は絶対に浮気するよ」とか。勝手にそう思うのは自由だけど、わざわざ相手に言うのってどういうメンタル?友達とかいるのかな?ユーコム心配しちゃう。
子供と私がベルリンに残り、夫だけ日本へ帰国することになった後は。
「旦那さん、寂しいでしょうね」
「旦那さん、偉いね」
「お前は好き勝手なことやって、旦那に悪いと思わないのか」(実兄から)
・・・あのね。夫はとっくに成人して自分のことを自分でできる大人なの。むしろ、自分だけの面倒をみれば良いのだから夫はラクなのよ。
どちらかといえば大変なのは、わ・た・し!
ドイツ語の世界で、外国人として2人の子供と犬の世話をするのは、私ですから!!
もし逆に私が1人で日本に帰って、夫と子供がドイツに残ったとしても、きっとこう言われるのでしょう。「旦那さん大変ですね」「旦那さんかわいそう」って。
可哀想なのは、そういう価値観のズレたことを平気で相手に言ってしまうあなたです。もっと言うと、大の大人なのに奥さんから世話をされないと何もできないあなたの夫もね。
想像力に欠けた心ない言葉をかけられるたびに、顔ではにっこり笑って「心配してくれてありがとう」と返していました。大人ですから。
心の中では「うるせぇすっこんでろ!」です。大人ですけど。
優しい友人の優しい言葉
私たちは、何日も何日も話し合ってこの生活を選びました。いろんな場面を想定して、お互いを心配して思いやって、子供の将来をシミュレーションして決めたんです。
夫が日本へ帰国する日は「お互いに頑張ろうね!私たちだったら大丈夫!」とがっちりハグをして別れました。
それを理解している仲の良い友人たちは、こう言ってくれました。
「よく決断したね!応援しているよ!」
「英断だと思う。尊敬するわ!」
「何かあったら手伝うよ。いつでも声をかけてね」
などなど。
近所に住む仲良しのルーマニア人家族は「私たちはあなたたち家族のためにいつでも扉を開いておくから、いつでも頼ってね!」とメッセージをくれて、思わず涙ぐんでしまいました。
おかげさまで、私たち夫婦も円満な関係を維持することができ、子供も順調に成長しています。(色々あるけど)
別居婚のメリット・デメリット
大変なこと - デメリット
私たちは結婚前も結婚後も出張だらけでしたが、お互いに好きなことを仕事にしていたので、その生活に不満はありませんでした。
ただ、子供が生まれてからはそうはいきません。昔と今と、大変なことはこれです。
- 子供2人が小学生低学年くらいまでは、ワンオペがキツかった(昔)
- 2拠点の生活費がかかる(現在)
子供が小さい頃は、夫が出張で2週間家を空けるとなると、肉体もメンタルも疲弊しきってしまいました。友人が助けてくれたのでなんとか乗り越えられましたが、完全に1人だったらどうなっていたことか。
現在、息子は16歳、娘は13歳。子供に関するそういった大変さは無くなりました。
ただし、昔のように出張で離れているのではなく、今は2箇所に住居を構えて生活しているので、その分の生活費がかかります。
1人時間がもたらす心の余裕 - メリット
私たち夫婦もずーーーっと平和に暮らしていたわけではなく、お互いに不満を持つ時だってあります。人間だもの。
結婚当初はお互いの価値観や習慣を擦り合わせるのに苦労しました。だって、生活のルールが違う、相手の行動が目につく。全部指摘してもキリがないし我慢してもストレスが溜まる。皆、どうやってこれを解決しているのだろうと。
そんな感じでストレスが溜まった頃に、タイミングよく夫が出張に行くのですよ。だいたい2週間ほど帰ってきません。ちょっと寂しくなってきたなーって頃に戻ってくる。このサイクルがちょうど良かったんです。
マッチングアプリ大学というサイトに、遠距離離恋愛で結婚した人たちへのアンケート結果が載っています。
この中に「遠距離恋愛のメリットは?」という問いへの答えに深く頷いてしまいました。
そう、会えないからこそ相手への思いやりが育てられ、再会した時はいつも新鮮な気持ちになるのです。
イライラしていたことも、時間が空くと感情が落ち着いて客観的に考えられるようになります。すると、冷静に話し合う余裕ができたり、実は大したことではなかったと気づく。
私たち夫婦には定期的に1人になる時間が必要で、このような生活がちょうど良かったのだと思います。
うまくいっている理由
平和な別居婚が成り立っている理由
結論から言うと、このひとことに尽きます。
(お互いに)精神的に自立しているから
相手に依存しない、恋愛以外に没頭できるものがある(仕事や趣味など)、つまり恋愛や相手への熱量が同じくらいであることが大前提ではないかと思います。
もう少し詳しく分析すると、
- 子供がある程度手がかからない年齢になっていたこと(別居開始当時、9歳と12歳)
- 私と夫がお互いに体(の健康)・精神・経済において自立していること
- お互いを信頼していること
このあたりがポイントなのかなーと。
子供のメンタルが安定している理由
これは、うちの子たちが社交的で、ドイツの教育が肌に合っていると言うのもあるのですが。
一番の理由はこれです。
夫婦仲がすこぶる良いこと
同居するか別居するかよりも、これが大事かと。
日経ビジネスにこのような記事がありました。
最も重大な虐待は、子どもの面前で両親が激しい言い争いをしたり、父親が母親を殴ったりすること、あるいはその逆ですね。
発達障害と遺伝 小児科医が考える「最悪の虐待」とは何か?(記事を読む)
子どもは両親の不仲を目にするよりは、自分が殴られたほうがいいとさえ思っているかもしれません。
ですから子育ての意見が違ったときにも、子どもの面前での口論は避けてくださいね。
娘がまだ小さい頃、友人宅で生まれて初めて大人同士(そこのパパとママ)が罵り合っている姿を見て娘は大変なショックを受けたことがありました。
帰宅してから大声で泣いて怯えている娘を抱きしめながら、やりきれない思いになりました。
もし夫婦で同居を続けることにより、自分や子供に悪影響を与える場合。いっそのこと別居した方が自分も子供も健全なメンタルを保てることもありますよね。
いずれにせよ子供と一緒に暮らす大人(我が家の場合は母親である私)のメンタルが、子供の精神状態とリンクするのは分かりきったことですね。
夫婦それぞれのホンネとまとめ
コロナ禍で大人も子供もリモート生活になっていた頃、夫がポロッと本音を漏らしていました。
そうでしょうねぇ。こっちは家庭内ロックダウンなどで大変でしたよ。
ちなみに、感情の起伏が激しい私の本音はこれです。
ロックダウン中に夫と一緒にいなくて良かった…。
イライラして優しい夫を傷つけていたはず。危なかった。
それと、もう一つ本音。
料理のストレスが減った!!
夫は普段から家事を積極的にやるタイプですし、出された料理に文句をつけたりしません。それでも、私なりに気を使っていたみたいです。離れて初めて気づいたことの一つ。
そんなわけで、まだまだ続く別居婚。簡単にまとめると
- 夫婦元気で仲良く
- 生活費をしっかり稼ぐ!
この2つがあればなんとかなる!ということで。
あなたは優しい旦那さんがいてラッキーだったのねと言われることもありますが、ラッキーが理由ではありません!
私は生粋のダメンズホイホイでろくな恋愛をしていません。自分で人生のギアチェンジをしたのです。いくらでも道は新しく作れます。年齢は関係ありません。
条件書きシリーズはとても好評なので、ぜひこちらもお読みください。外野を気にせず、自分の人生は自分で舵をとりたいものです。