「あなたの話を最後まで聞く人と結婚しなさい。」
これは、友人が結婚前にお母様から言われたことだそうです。なんて素晴らしいアドバイス!
決して話を遮らず、ちゃんと最後まで興味を持って話を聞いてくれる人を大事にしなさいと。
考えてみると私の夫も最後まで話を聞いてくれるタイプの人です。夫婦関係が良好なのは、これも一つの要因かもしれません。
私は若い頃に人間関係で苦労しましたので、なんとか自分を変えたくて本を貪り読みました。
すると多くの本に「信頼関係を築く上で、人の話を遮るなんて言語道断」と書いてあったのです。相手を理解し、大切に思うのなら話を遮らずに最後まで聞くべし、と。その理由にも納得でした。
いやもう、大いに反省しました。話を平気で遮っていましたし、「でも」と切り出し相手の話を否定し、自分の知識をひけらかすことも多かったのでは。ああ恥ずかしい!
それからはなるべく相手の話を最後まで聞くように心がけているのですが…。出来ていますかね?(不安)
「話を最後まで聞く」というのはスキルであり配慮でもあります。仕事だけでなく、友人関係や親子関係にも大きな影響を与えます。これを今回は掘り下げてみようと思います。
話をさえぎる人の特徴と心理
30代後半の頃に気づいたんですけど。40歳過ぎると、人の話を遮る人・最後まで聞かない人が多くなりません?(もちろん全員ではない)
どんなふうに遮るのかというと、
- 話を遮って話の流れから推測した結論を言う(推測なので間違っていることも多い)
- 話を遮って自分の意見を言う(自分の話をする)
- 話を遮って反論する
こんな感じなので、話が進みません。反論するなとは言いませんが、毎回毎回「でも」と遮られると話す気も失せてきます。
では、これをする人の心理はというと
- 相手より自分の方が頭の回転が速く賢いと思っている
- 相手より自分の方が正しいと思っている
という考えが(自覚がなくても)根底にあるということなのだそうです。おそらく酸いも甘いも経験したからこそそうなっていくのでしょうけど。
私も平気でカットインしていた頃、根底にこんな卑しい心があったと思います、未熟なくせに。恥ずかしい!
子供の話をさえぎってはならぬ理由
親子関係でこれをやっちゃう人は(私を含めて)多いのではないかと思います。なぜなら、自分の方が正しいと思っているから!
うちの子たちはドイツ育ち。当然、日本語よりドイツ語が得意です。なので私に日本語で話をする際、オチまでとても時間がかかります。
でも、そこで遮ってしまうと子供はもう私に何かを伝えようという気が失せてしまうはずですから。
頷きながらとりあえず最後まで話を聞くようにしています。根気が入りますし、たまに我慢できない時もありますけど。(反省)
東洋経済オンラインに、こんな記事がありました。
「話を聞けぬ親」が子どもの問題行動の元凶だ 親野 智可等氏 : 教育評論家
特に、この2ページ目に書いてある「アドバイスや指導はたっぷり共感してから」というのは本当にその通りだと思うのです。読みながら反省しまくりでした。
相手が心を開いている状態でないと、アドバイスなんて頭に入りません。
大人同士だって、話の途中で遮られて「こうすればいいじゃん!」と一方的にアドバイスされると「ちょ、待てよ(古い)」となりますものね。私だけ?
子供は話を肯定して最後まで聞いてもらえると、「親は自分のことを理解してくれている、自分は愛されている」と安心するのだそうです。
では逆の場合はどうでしょう。親子関係だけでなく、大人同士も同じですね。考えさせられます。
嫌われたかったらするべきこと
人に嫌われたり、陰で笑われたり、軽蔑されたりしたかったら、次の条項を守るにかぎる。
- 相手の話を、決して長くは聞かない
- 終始自分のことだけをしゃべる
- 相手が話している間に、何か意見があれば、すぐに相手の話をさえぎる
- 相手はこちらよりも頭の回転が鈍い。そんな人間のくだらんおしゃべりをいつまでも聞いている必要はない。話の途中で遠慮なく口をはさむ。
ー 人を動かす ー D.カーネギーー
このことを、昔は平気でやっていました。きっと私のことが苦手だった人も多かったはずです。
冒頭にも書きましたが、本を読み、周りの人を観察してみると、人望のある人は本当に聞き上手なのだということが見えてきました。
日本でもドイツでも、人をまとめる立場の人や組織のトップにいる人は国籍関係なく聞き上手な人が多いですね。
逆に、上の4項目を無意識にやってしまう人は、自己評価と周囲からの評価にズレがあることが多い気がします。
って書きながらドキドキしています。大丈夫かな私。
最後まで話を聞くと人生が変わる
私は決して「聞き上手です!」と胸を張って断言することはできません。が、そう心がけています。
完璧ではないにせよ、心がけるようになって変わったことがたくさんあります。
- 家族関係が良好になった
- 相手のことをよく知るにつれ、好きな人・尊敬する人が増えた
- 相手の話を聞くことで広い分野の知識を得て、話の引き出しが増えた
- 話の引き出しが増えたことにより、人見知りがなくなっていった
- 相手から好意を持たれることが増え、信頼関係ができた
- 知らず知らずのうちに問題解決のヒントをもらえることが増えた
- 人と会うことにストレスがなくなった
良いことばかりです。この「話を最後まで聞く」ことの重要性を知らなければどうなっていたのでしょうか。
夫の話を遮り、自分の意見を押し付けてばかりいたら。
子供の話に自分の意見を被せ、反論できないようにねじ伏せてばかりいたら。
ゾッとします。昔の私のままだったら、絶対やっていたと思います。危なかった。
ディスカッション教育で育っている息子も、大切なのは他者の意見を知ることだと言っています。
年齢とともに経験が鎧になりがちですが、いつも柔らかい衣を身に纏い、しなやかな心を持ち続けていきたいものです。
そうすれば、ばーちゃんになっても、世代を超えた友人に囲まれて生きていかれるのではないかと、期待も込めて。