ドイツで犬の学校へ入学しました

犬と暮らす

緊急事態・呼び戻し【ドイツのドッグスクール⑥】

前回、これで犬のしつけにおいて「呼び戻し」は完璧と思ったのも束の間、緊急事態が起きてしまいました。今から思えば、この緊急事態のおかげで、愛犬リアが100%確実に呼び戻せるようになりました。ドッグスクールシリーズ、最終回です。

※これは2018年秋頃の話です。

緊急事態発生

リスを追いかけてリアが消えた! 

リアの呼び戻しに成功し、浮かれながら散歩に繰り出す日々。あっちゅーまに新しいことを覚えていくし、もしかしてリアって天才?いや、着々としつけをこなしていく私たちも天才なんじゃない?なんて天狗になっていました。

ある日、腹ぺこのリアを公園へ連れ出し、リード無しで走らせていました。たまに呼び戻しては、いやあ、うちの子えらい。うちの子賢い。やっぱり私に似たんだわ、なんて悦に入っていた、その時です。

リアの近くをリスが走り抜けました。それに気づいたリアが、一目散に走り出し追いかけて行ってしまった!
慌ててコマンドを出しても、全く振り向きもせず、ピューーーーッという効果音とともにあっという間に走り去り、広い広い公園でリアを見失ってしまいました。

コマンドを出しても戻ってこないリア

大声で名前を呼んでも、コマンドを出しても、何をしても戻ってきません。

ベルリンの広い公園や近所の森には野性のイノシシやキツネが生息しており、人が少ない時間帯に散歩中の犬が襲われて大怪我をすることがあります。知人の小型犬は散歩中にキツネに襲われ、片目を失明してしまいました。

一体リアはどこに行ってしまったのか。必死で探し回りました。しばらくして、林の中の1本の木に登ろうとしながら上を向いて吠え続けるリアを発見。興奮して飛び跳ねまくるリアをなんとか捕まえてリードをつなぎ、引きずるようにして帰宅しました。

もし、あのまま見つけられず戻ってこなかったらどうしていたのか、今思い出してもヒヤッとする出来事です。

別の日には、野生のカモを追いかけて池へ飛び込み、藻で緑に濁った池を優雅に泳ぎ回ると言う事件がありました。勘弁して下さい…。

拾い食い < 私たち(ごはん)<<< 野生動物 だったと判明

あかん、私たちは拾い食いには勝ったけど、野生動物に負けとる。このままじゃ公園でうかうかリードを外すことなんて出来きません。まさに緊急な事態!どうしたらいいの?ドラえもーん!!

ってことで、いつものようにドイツ Zwanglos のドッグトレーナーのステファンに泣きついたのでした。

緊急時用トレーニング

緊急用のおやつを決める

まず、「緊急時の呼び出しのみ」に使う、特別なおやつを一種類決める。できれば一口では食べ切れない大きいものが良い。私たちは、ステファンおすすめの馬の肺を乾燥させた20cmくらいの長さのおやつを準備しました。

緊急用のキーワードを決める

緊急事態のキーワードを決める。通常の呼び戻しに使う「komm」(来い)とは違う、特別な言葉。私たちは「コラ!!」にしました。

最初は人間2人でトレーニングする

人間Aが犬と一緒にリードを持ち、もう片方Bはおやつを持ち通常より間隔をなるべく広く開けて待機。事前に特別なおやつの匂いを嗅がせておくこと。

緊急用のキーワードを大声で叫ぶ

おやつを持っているBがキーワードを大声で叫ぶ。思いっきり大声で。「コラーーーーーツ!!」
叫ぶのは、1回のトレーニングで2回まで。うまくいかない時、その日は切り上げて別の日にトレーニングする。

犬が来たらすかさずおやつ!

なんなら褒める前におやつ!

緊急用トレーニングは多くても1日2回まで

1週間で2〜3日までと言われました。犬の方が慣れてしまってはいけないからだそうです。これを逃したら次はいつ食べられるかわからない!という特別感を高めるために。

練習しました私たち。言いつけを守り1日に1〜2回。週に3日くらい。

犬のしつけ・その後のリア

緊急時でも完璧に戻ってくるようになりました!!!

一度、野生のイノシシを追いかけていきそうになった時も、「コラーーー!!!」で戻ってきました…。

この奥の手があると、本当に助かるのです。この時にしか食べられない特別なおやつを目掛けて慌てて戻ってきます。この緊急時の呼び戻しは、うちのリアみたいにピチピチしている好奇心旺盛な子には絶対に教えた方が良いと思いました。ありがとうステファン!

そんなわけで、犬の学校シリーズはここで終了です。全部は書ききれませんでしたが。

私たち家族とリアが数年後どうなったかと言いますと…皆でリアを構いすぎて撫でくりまわしすぎて、また人間の方が下僕になりつつあります。だって可愛いんだもの…撫でさせて…。

それでも2歳を過ぎたあたりから、少しずつこちらの言葉を聞き取って理解してくれるようになってきました。トレーニングもゆるゆると続けていますが、興奮すると今でもリードを引っ張ることもありますし、他の犬に唸ることもあります。完璧ではありませんが、最低限のマナーが身についていれば良いのではないかと開き直っています。

ステファンのところで学んだことは、私たち人間とリアの関係を深いところで繋ぎ、理解し合うきっかけになりました。心から感謝しています。


愛犬のしつけに悩んでいらっしゃる方々が、相性の良いトレーナーさんに出逢い、生活がもっと楽しくなりますように。

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