犬と暮らす

犬のBARF【完全版】 - イギリス獣医師のセミナーより

2024年1月16日

犬のBARF(生食)について、メリット・デメリットさまざまな情報が溢れております。(2020年の記事を修正・追記しました)

家の近所でよく会う子がBARFを実践しているとかで、高齢犬なのにやたら健康で毛がツヤツヤしているのですよ。

なのメリットはなんとな〜く理解していました。しかし犬のBARF、デメリットもあるはず。

BARFへの不安

  • 栄養面はどうなのか
  • 衛生面でどうなのか
  • 金銭面はどうなのか
  • 面倒ではないのか

そんな時にタイミングよく、イギリス在住の獣医師によるBARFセミナーがあるとのこと!高額でしたが思い切って申し込み、がっつり話を聞いてまいりました。これらの不安も払拭できました。

その獣医師はもちろんBARF推しだったのでBARF100%を促す内容でした。が、この記事ではドッグフードを取り入れながらの妥協案なども提案してみましたので、ぜひ最後までお読みください。

そもそもBARFとは

BARFは、「Biologically Appropriate Raw Food」または「Bones and Raw Food」として知られる犬の食事法の略語。

犬に生の食材を提供し、本来の健康を取り戻し維持するという考え方に基づいています。通常、新鮮な肉、骨、内臓、果物、野菜などが含まれます。

BARFのデメリット

ところが、反対意見もあります。ざっと調べるとこんな感じ。

  1. 栄養バランスの難しさ: 栄養素を正確にバランスよく提供することが難しい。必要な栄養素の適切な割合や量を理解しないまま実践すると、犬の健康に悪影響を与える可能性がある。
  2. 食品安全性の問題: 生肉を与えることで、食中毒や寄生虫感染のリスクが増える可能性が増える。
  3. 食品業界の信頼性: BARF食が商業化することで、メーカーから調達した生食の品質が落ちるという懸念。

確かに、私もこのあたりが不安です。

BARFのメリット

では実際にBARFを実践した飼い主にアンケートを取ったところ、以下のような変化が顕著に見られたそうです。(セミナーより)

  • 歯や歯茎が健康になり、歯石がつかなくなる。口臭の改善
  • 毛つやが良くなる
  • 体臭が良くなる(臭くなくなる)
  • 便が適度に硬くなる
  • 活力が増す
  • 適正体重になる
  • 免疫系が整う(病院にかかる頻度が低くなる。アレルギーの劇的な改善等)
  • 寿命が延びる

これはこれでとても気になります!デメリットを克服した上でメリットを享受する方法はあるのでしょうか。

続いて、ドッグフードの実態について学びました。

ドッグフードの栄養価

犬のBARF、デメリットを考えると、市販の栄養バランスが整っている市販のフードについ頼りたくなってしまいます。

そこで、私たちが信頼を置いているドッグフードとはそもそもどんなものなのでしょうか。

そこでイギリスのノッティングヒル大学が行った調査に乗り出しました。そして驚く結果が発表されました。

スーパーマーケットおよびオンラインで販売されている177種類 のドッグフードを調査したところ、EUで定められた栄養ガイドラインを順守しているフードは、ウエットフードの6%、ドライフードの38%ということがが分かった。
Mineral analysis of complete dog and cat foods in the UK and compliance with European guidelines

私も1年以上ドライもウェットも与えていたのでショックです。ってことは、購入しているフードはかなりの確率で栄養が足りていないということになります。

ドッグフードの安全面

欧州にはRASFFという機関があります。EU加盟国内の食品に問題があった場合、迅速に情報を共有し対策を取る機関だそうです。

2020年、2021年にEU内ので53件のドッグフードやスナックがリコールされたとRASFFが発表しました。そのうち、犬に深刻な害を与えるのは28件(ドイツの製品は15件)。その28件のうち17件は市場に出回る前になんとか回収を終えました。しかし11件はすでに何千人もの飼い主が購入した後だったそうです。

有名なブランドや大手の会社が多く、業界に大きな不信感を与えることになりました。

リコールされた理由を調べると、サルモネラ菌、エンテロバクテリア、カドミウム、基準値を超えたビタミンD、鉛などの混入だそうで、本当にとんでもないことです。

ドイツでリコールされた商品の一部はこちらで確認できます。

つまり、ドッグフードも全て安全・安心というわけではないのですね。

※もちろん安全なドッグフードもあります。この記事の最後で、基準を満たしているドッグフードのリストも載せています。

ドッグフードの落とし穴

たとえドッグフードが基準を満たしていても、それだけを食べ続けることのデメリットがあります。

なぜなら、この地球上の動物は自分の生活圏の中から食を得ており、毎食同じものを食べているわけではないからです。

つまり、こういうことです。

  • 全く同じ栄養バランス、全く同じ内容のものを何ヶ月も食べ続けるのは、動物にとって極めて不自然なことである
  • 世界の動物の中でそんな不自然な食事をしているのは、人間に飼われているペットだけである(納得!)

思わず唸ってしまいました。栄養があるかないかも大事ですが、全く同じ内容のものを食べ続ける不自然さ。いや本当にその通りです。

定期的にいろんなメーカーのものを食べさせて変化を与えているよ、ってレベルの話ではないわけですね。

地球上の生物で、調理したものを食べているのは人間と人間に飼われているペットだけだとも仰っていました。

ただ、私たち人間は調理していないものも食べています。ではドッグフードのみで生活している犬は?

セミナーを受けている間、ずっとショックを受けていました。

でも生食への不安もまだあります。

【栄養】2週間でバランスを取る

まず、毎食を完璧にする必要はないそうです。なぜなら、この世に存在する動物が、毎食を全く同じ栄養バランス、全く同じ食事内容にすることは不可能であるから

考えてみたら私たちだって、毎日栄養バランスを完璧に摂っているわけではありません。昨日食べすぎたから今日は控えよう、最近外食が多いから家では野菜をたくさん食べよう、そんな感じですよね。

犬も同じで、目安は2週間ほどの間でつじつまが合えば良いのだそうです。

犬は1〜2週間に多種多様な食べ物を摂ることで、体内で栄養のバランスを調整できるようになる

常に同じものを食べない方が良さそうですね。これなら、自分にも出来そうな気がしてきました。

食材の内訳と注意点

理想的なバランスは以下の通りだそうです。

  • 肉類8割、野菜等2割が望ましい(1回の食事)
  • 【肉類8割のうちわけ】肉 : 骨 : 内臓 = 8:1:1
  • 【野菜2割のうちわけ】緑の葉野菜、ナッツ、ハーブ、海藻、オメガ3オイル。これらをミキサーなどでスムージー状にする。ナッツはマカダミアナッツ以外は全てOK。

加熱した骨は内臓を傷つける恐れがあるので、必ず生を与えること。
生の豚肉はダメ!絶対!

ただ、これはあくまでも目安。神経質になって毎食きっちり計る必要はないそうです。

骨がなくても、内臓がなくても、野菜が足りなくても、オイルがなくても。だいたい2週間前後でつじつまを合わせればOK。

それよりも、生のものを与えるのが鉄則だそうです。

なぜなら、人間以外の動物は生のものを食べてきた歴史が長いから。火を通して食べるのは人間だけなのです。(とはいえ、我が家は炊いたお米や茹でたジャガイモやブロッコリーをたまに与えています)

犬は食物繊維を消化しにくいので、野菜類はスムージー状にすると負担が少ないそうです。

BARFで寿命が延びる

オーストラリアの保護施設で、ペットフードを市販のものから生食に切り替えました。結果、保護されている犬猫の平均寿命が2年以上伸びたというデータがあるそうです。

他にも、ペットの持病や怪我などが食事が改善された症例もたくさん教えてもらいました。

ベルギーの獣医学博士2名が書いたこんな論文もあります。

5年間にわたり500匹以上の犬を調査し、犬の寿命に影響を与える最も大きな要因の一つが栄養であることを証明した。
新鮮な食事(ローフード)の摂取により犬の寿命が32ヵ月、つまり約3年延びることが分かった。

これは別記事で特集しているので、ぜひご覧ください。

さあ、うちもやってみるか!決意を固めました。

我が家が愛用している宅配BARF

それまではベルリンのお店で4週間ごとにBARFを配達してもらっていました。しかし、この数年の物価の上昇でどんどん値段が高騰していきましてね…。

そこで調べまくった結果、ドイツのアマゾンにとても良いお店を発見!1kgあたりの単価が一番安く、添加物や保存料等も入っていません。

ってことで、数年間お世話になっていたお店から乗り換えました。

鶏や牛肉の赤味や各種内臓が入っており、栄養が偏らなくなっています。お値段もかなり良心的。

原材料は100%ドイツ産、ドイツの食肉工場で製造・発送しています。会社の詳細を読み込んでも、犬に対する大きな愛を感じられてとても良い。

うちのリアは体重が15kg、1日に生肉や骨を250gx2回(1日に500g)。それに野菜を目分量で2割程度になるようにトッピング。葉物を中心に、人参や大根などのヘタ、リンゴなどの野菜や果物、ナッツをフードプロセッサーでペースト状にし、オメガ3の油などを混ぜています。

犬に与えてはいけない食材はこちらを参考にしています。

リアの変化

2020年にBARFに切り替えてから4年が経ちます。リアは毛並みも良く、病気もせず、6歳になる今も全力でボールを追いかけています。周りの犬仲間からも「6歳とは思えない!元気だね!」と言ってもらえるので、BARFが彼女には合っているのだと思います。

ドッグフードからBARFに切り替えると、最初はお腹を下すと思います。これは生食に限ったことではなく、普段のフードから違う種類へ切り替えると大抵そうなります。数日間与え続けていると、じきに治りますのでご安心ください。

リアが生食に切り替えたばかりの頃、たった1週間でもずいぶん変化があったようです。よろしければこのレポートもお読みください。

【ドイツ】安全なドッグフードのリスト

事情により完全BARFが無理だけど、混合でやってみたいという方へ。

ドイツ在住の方は、こちらのリストをご覧ください。お手頃価格で手に入る、テストに合格した安全なドッグフードです。

Stiftung Warentest inFranken.de(テストサイト)

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日本とEU、肉の安全基準

まずは日本の食肉の安全基準について知っておくべきことがあります。

日本では家畜に対する肥育ホルモン剤の投与を禁止しています。しかしながら、外国において肥育ホルモン剤を投与された肉の輸入は認めています。
オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダでは肥育ホルモン剤の投与を認めています。
対してEUでは肥育ホルモン剤の使用も、投与された肉の輸入も禁止しています。
ホライズンファームズさんの記事より

つまり、日本で購入できるドッグフードや生肉(人間・犬用かかわらず)は、どこで飼育された肉を使っているのかが重要な判断基準になります。

EUの場合は自国での使用も他国で使用されたものも禁止しているので、もし外国産のドッグフードを選ぶならEU圏で作られたものを選ぶと良いかと思います。

ドイツのペットフードにおける基準は本当に厳しく、原則として使用される原材料はすべて人間の消費に適合するものでなければなりません(ヒューマングレード)。また、原材料に使用してよい部位やその加熱処理方法まで厳密に規定されており、全ての基準を満たすもののみがペットフードの原材料として使用されます。

【日本】で買えるEU産フード

HAPPY DOG・HAPPY CAT (ドイツ産の無添加ナチュラルフード)

ドイツ、バイエルン州の小さな町ヴェーリンゲンで、1965年以来3世代に渡ってドッグフードを作っている会社。地元の契約農家から食材を調達し、製品化にも最新の注意を払っています。世界78カ国で販売しています。

ドイツのAmazonでも確認しましたが、とても高い評価をつけられていました。

獣医師監修のオリジナルレシピ。アレルギーリスクを軽減するため単一タンパク質を採用 。穀物アレルギーを考慮してグレインフリーの商品もあり。

日本メーカーのフードを買う際は、原材料のうち特に肉の産地をチェックした方が良さそうです。

我が家の場合は、市販のドッグフードよりメリットが大きいと考え、思い切ってBARFに切り替えました。

リアを連れて旅行をするときは、出発の数日前からドッグフードと生食を混ぜた食事にし、旅行中はドライフードのみします。そして帰宅してからゆっくりBARFに戻していきます。

それもこれも、愛犬に元気で長生きしてもらいたいからです。

BARFを取り入れた食事で長生きしてくれる犬と、私たちが少しでも幸せに暮らすために。こちらの記事もぜひお読みください。犬ってすごいですね!

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