ベルリン育ちの我が子のタバコと飲酒、どこまで許容できるのか…。
ドイツにおける未成年のタバコと飲酒事情。保護者付きとはいえ14歳から飲酒OKって早すぎない?って日本育ち・昭和生まれの私は感じます。
しかも未成年の喫煙に関してはもはや無法地帯と化しているドイツ。
2021年、日本の高校生の喫煙率は男子が1%、女子が0.6%でした(厚生労働省の調査)。
ではドイツはというと、12歳〜17歳で6.1%!
しかし街で見かける未成年を見ていると、もう少し多そうな気がしますが…あ、電子タバコやニコチンフリーはカウントされていないかもしれません。
そんなドイツですが、未成年の喫煙は全面的に禁止されています。ニコチン・ニコチンフリー関わらずです。前回の記事では、何歳からアルコールやタバコが許可されているのかを調べました。
今回は、我が家(日本人家庭)では飲酒・喫煙に関してどこで線引きをしているかを書いてみました。ちなみに2023年5月現在、息子は16歳、娘は13歳です。
喫煙されている方、低年齢からの飲酒・喫煙を容認されている方には不快な内容かもしれません。これはあくまで、私が息子と娘に対して思っていることであり、周囲に禁煙禁酒を促す内容ではありません。人は人、うちはうち。興味がある方だけ読んでくださいね!
まずは、私の考えをまとめてみた
私の希望とその理由
ドイツの法律と、子どもの交友関係と、今後の子どもの人生と。あれこれ照らし合わせた結果、子どもに望むことはこれ。
子供への希望
- アルコールは、記念日などに適量ならOK(無理して飲む必要はない)
- タバコは生涯において不要
まあ、めっちゃ普通の結論なんだと思います。なぜこの結論に至ったか、一応説明しますと
その理由
低年齢から飲酒・喫煙が習慣になると、これらのリスクが大人の何倍にもなるから
- 健康面のリスク(特に脳へのダメージ)
- 依存症を引き起こすリスク
- 自己管理能力低下のリスク
と、これもまあごく一般的な理由ですね。でも、それ以外に何があります?
希望を伝える前に、飲酒と喫煙のリスクを理解してもらうことから始めました。子供がもっと小さい頃から、タイミングを見て話題にしました。
強制しても意味がないので、自分で考えて判断できるようになって欲しかったのです。
【参考リンク】
未成年者の飲酒は、健康に大きな害を及ぼす。周囲が止め、本人も断る勇気を(全国健康保険協会)
未成年がタバコを1日に3〜4本吸うと、成人が1日に30本吸うのと同じダメージを体に受ける(日本医師会)
思春期の喫煙者の平均寿命は10年以上縮む(ドイツ語) (肺の専門医)
自分で判断する
これらのゆる〜いドイツのルールが話題に上ると「ドイツ(ベルリン)では普通のことだよ」「皆通る道だよ」なんて言われたりもします。まあ、そうなのでしょうね。
実は、私には苦い思い出があります。
相手の言葉を鵜呑みにして、ろくに調べず勧められた通りのことをした結果、大きなリスクを負う羽目になったことがあるのです。そのリスクを負ったのは子供でした。相手がその分野の専門家だったから尚更ショックも大きかったのです。
誘導した相手が責任を取ってくれるわけではない。責任を取られたところで受けたリスクが消えるわけでもありません。事前に自分で調べていたら絶対に断っていました。とても後悔してものすごく自分を責めました。
「大丈夫だって」「皆やってる」「数字上リスクは低いし」なんて言葉は本人に悪気も自覚もないだけで、実際はとても無責任な言葉なのですね。
そんな経験から、ある程度のリスクを伴う案件に関しては、「大丈夫」を鵜呑みにしないことにしています。(人の意見を聞かないという意味ではありません)
で、このドイツの現状を見て正直な感想。
「飲酒・喫煙に関しては、ドイツがおかしいよね?」
いくら体格が違えど、16歳でどれだけ酒飲んでもOKとかやっぱりおかしいわ。
うちの子が、酒やタバコを常習化しながらも自己管理をして、将来のために計画立てて成長していく器用なタイプだとは思えん。
結局はここです。
タバコと自己管理- 父の体験
父はその昔、1日に数箱を消費するヘビースモーカーでした。
そのころは電車や飛行機の中でもタバコを吸えたのですよ。映画の主演俳優はここぞというシーンでタバコを咥える。テレビドラマでも喫煙シーンが多く、彼氏に吸ってほしいタバコランキングなんてものも女性誌で特集されていた時代。
そんな1980年代後半、父が仕事のために飛行機で世界中を飛び回るようになった頃。たまたま世界で禁煙ブームが起き、機内や空港が次々に禁煙になっていったそうです。長時間機内で長時間タバコを我慢した後に、空港で一服しようにも喫煙所がなかなか見つからない。タバコに「振り回されている」と感じるようになった父。
それに加え、当時の米国では「自己管理できない人間が他人を管理できるわけがない」と、会社のトップはこぞって禁煙し始めました。それを見てとうとう父も観念し、禁煙を決意。見事習慣を断ち切りました。
私はというと、父の禁煙よりもその理由がとても印象的でした。アメリカってそうなんだ!と。(もちろん喫煙者でありながら優秀なトップもいるでしょうけど)
あの頃からまた時が経ち。今の映画は悪役がタバコを吸って、ヒーローなど主人公は吸わないことが多いのですってね。だからタバコそのものの印象が良くないと息子が言っていました。時代は変わり続けているのですね。
子どもに提案して考えてもらう
身近な人の例は効果的
世の中にはタバコもお酒もガンガンやって95歳まで生きた人もいるでしょう。(友人のおじいちゃん)
逆に、タバコを吸わない、お酒も飲まない、健康に気を遣って良いものを食べていても短命な人だっているかもしれません。
だったら我慢せずやりたい放題やって生きたい!と精力的に生きていくのも潔くてかっこいいと思います。
ただ、未成年でその決断をするのはまだ早い気がするのです。
30年前に禁煙をした父は、現在は退職し80代になりました。人間ドッグで体内年齢と脳が若いと褒められ(それをいちいち自慢してくる)、今でも毎朝早起きして1万歩以上歩き、モリモリ食べてお酒を嗜んています。
そんな父や、身近でヘビースモーカーの人の例も挙げ、子どもに考えてもらっています。やりたい放題で95歳まで生きた友人のお祖父さんの話など、私の意向に沿わない例もどんどん出します。考える力、判断力を養うのに必要な作業だと思うからです。
やはり身近な人のことだと自分の身に置き換えて考えやすいらしく、真剣に聞き、真剣に考えています。私はというと、子供の出した意見を絶対に否定せず、受け止めてから理由を聞くようにしています。ただそれだけです。
タバコと飲酒、ドイツの法律が教えてくれないこと
他に私から伝えた情報は大体こんなこと。
- ドイツの飲酒可能年齢は、私たち(日本人)の体には負担が大きいこと
- その負担とは、内臓よりも脳のダメージの方が大きいということ
- この先アルコールを飲む機会があっても、決して周りのペースに流されないこと
- 煽って飲ませよう(吸わせよう)とする人は、あなたを大事に思っていない証拠だということ
こういった話をした時の子供の反応は、10歳くらいの時は正義感からくる模範的な回答が多かったように思います。
でも年齢が上がるにつれ、私の話だけでなく周囲を観察して考えを巡らすようになってきました。良い傾向!
私だって間違えることがありますからね。1人の話を鵜呑みにするのは危険です。複数の情報をもとに自分の考えを組み立てられるようになれば安心です。
現在、子どもの反応は
この記事をまとめる際、飲酒と喫煙に関して久しぶりに質問をしてみました。
娘との会話
こんな話をしてから数年後。娘には絶対にタバコをやらないであろう友人ができました。
息子との会話
判断基準を見誤らないために
強制したって、納得していなければこっそり始めます。リスクを理解していたとしても好奇心が勝つ時があるかもしれません。
あとは本人に任せるしかありません。
昔読んだ中村天風氏の本に
「政治の場で多数決を取るのは愚かなこと。間違っていることでも過半数が賛成したらそれが通ってしまう、こんなのはおかしい。100人中99人が賛成していたとしても、間違っていることなら間違っていることが事実なのだ。それを話し合って明らかにするのが政治ではないのか」
というようなことが書いてあり、今でもずーっと心に残っています。「皆がやっている」から、「法律で許されている」からというのは、そっちの道を選ぶ理由にはならないのです。
このことは、子どもにもしっかり心に刻んでほしい。メディアや世論に惑わされず、本当の判断基準になるものを見落とさないでほしい。
そのためにも、今回のように「どうしたい?それはなぜ?」と一緒に考える機会をどんどん作っていきたいと思います。
まだまだ危なっかしいし、「なんでそっち!?」ってこともたくさんありますが(私も含め)。そんな自分に気づいたら潔く方向転換して、また前に進めば良いですものね。
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。
【追記】大谷翔平くんも愛読書だと公言している中村天風氏の本、私は全部持っています!