前回は、ドイツの歴史授業でディスカッション式授業がどのように行われているかをお伝えしました。
学ぶ内容も方法も日本とは全く違うことに驚きましたが、そもそも歴史を学ぶ「目的」が違うのだと痛感しました。
今回は、ディスカッション式授業を息子がどう考えているか。
息子は4歳からドイツで育っています。15歳になり、ドイツから日本へ短期留学しました。その感想を元にした【逆留学⑤】シリーズ、最終回です。
シリーズ①はこちら。
前回の投稿はこちら。
ドイツの投票率と若者の関心
デンマークでは、歴史教育の質を高めることが選挙での高い投票率につながっている。逆留学③でそのように書きました。
さて、ドイツでは実際どうなのでしょう。
調べてみると、2021年9月に行われたドイツ連邦議会選挙で全体の投票率76.6%という、なかなか高い数字でした。
そういえば息子は、小学生の頃から選挙の時期になると「お母さんだったらどこに投票する?僕だったら〜」などとよく話していました。
10年生になった今はさらに詳しくなり、どこの政党だとこう言ってるからダメ、あの政党はここが良いけどあれがダメ、とあーだこーだ言っています。
もちろん学校でもクラスメイトとその話題で盛り上がるそうです。
ドイツの子供達の政治への関心や当事者意識などは、確かに歴史教育の目的とディスカッション式の授業が大きく影響するのかもしれません。
臆せずに意見をガンガンぶつけてくる(たまに鬱陶しい)息子を見ていると、特にそれを感じます。
ここで、ドイツ留学中の山口紗都美さんが書いた記事に大変共感しましたのでご紹介いたします。
「ドイツ人のように日ごろから議論すれば、自然と「自分の意見」を持たざるを得なくなるでしょう」って本当にその通り。
ドイツと日本の若者の間に見る、政治的関心の差。その根本的な理由とは・・?
息子の考えるディスカッションの価値
そして、自分の意見を皆の前で何度も言っていると、自分の価値観が定まってきて自信につながっていくしね。あと、視野を狭くしないためにディベートも大事だと思うよ。
なんか、なんか息子が立派なことを言っているんですけど!!
日本に行く前は気づかなかったことだそうです。
しかし、ディスカッションから自己肯定感が育つというのは、デンマークの教育と同じですね。
日本のクラスメイト・ドイツのクラスメイト
でもね、お母さん。日本人はあえて意見を言わず空気を読むことを大事にしてるでしょ?だから人間関係がめっちゃ平和だった。
皆優しいんだよね。ケンカなんか一度もなかったし、一度も嫌な思いをしなかった。
ところがドイツは皆 ”俺が俺が” で意見を言って絶対に曲げない。だから友人同士でも小さな諍いがしょっちゅう起きる。絶対に謝らないしさ。
久々にドイツに戻ってきたらちょっと“うるさいな“ って思った(笑)
なんてことも言っていましたけど。
というわけで、息子がポツリとこぼした歴史授業の感想がきっかけとなり、十数年前に読んだ本の内容まで遡ってあれこれ書かせていただきました。
こういった掘り下げた会話ができたのも、息子が日本へ留学したことで日本語スキルがかなり上がったからです。
息子と関わりを持ってくれた日本の皆さん、本当にありがとうございます。(ちなみに、現在はゆっくり日本語レベル低下中・・・)
息子が今のギムナジウムに通い始めるまでのドラマはこちらから。