口臭ケア、それは人としての尊厳を左右する、大事な習慣であります。
その昔、興味本位で読んだホリエモンさんの本に「口が臭いおじさんになるのは嫌だ。だからこそ歯磨きや口腔ケアには人一倍気を遣っている」と書かれていたのを強烈に覚えています。(他の内容は忘れました。)
実は私、匂いにとても敏感でして、とくに「口臭」と「ワキ臭」には即座にセンサーが反応します。
例えば、ドイツの夏は電車内に漂うワキガ臭にノックアウトされ、日本に一時帰国すれば、店舗や通勤電車での口臭に昇天しそうになります。
欧州では、歯列矯正やホワイトニング、電動歯ブラシを使った「オーラルケア」が日常に浸透しています。だから口臭がする場合、だいたい体調不良か食生活が原因、そして年配の方に多いという印象。
しかし日本では、比較的若い人の「口腔ケア不足」由来の口臭が多い気が…。
そんな私も51歳、いわゆる中年真っ只中で、加齢臭も気になるお年頃。
それでも「口臭・ワキ臭・加齢臭」の三大体臭の中で、もっとも手っ取り早く取り組めるのが、そう、口臭ケアなのです。
歯並びもホワイトニングも未経験なので、並の口元しか持ち合わせておりませんが、「匂いだけは死守したい!」という思いで、日々のオーラルケアに力を入れています。
今回はドイツ式の口腔ケア文化も交えながら、私が日々実践している「口臭ケア・ルーティン」をご紹介します。
口臭ケアその1: 歯磨きの質を上げる
電動歯ブラシ vs 手動歯ブラシ
私は昨年から、歯科医の友人に勧められて電動歯ブラシを使い始め、磨き上がりの感覚がまったく変わりました。
そこで、調べたがりの私としては、早速、専門家たちによる研究ではどんな結果が出ているのかを検索しました。
数ある研究の中でも最も信頼度が高いのが、Cochraneレビュー(2014)という医療分野の分析だそうです。なんと56件のランダム化比較試験(RCT)、計5,068人という規模で「電動 vs 手動」を分析しました。
比較項目 | 電動歯ブラシの効果(対手動) |
---|---|
プラーク除去(短期) | +11% |
プラーク除去(長期) | +21% |
歯肉炎の改善(短期) | +6% |
歯肉炎の改善(長期) | +11% |
このレビューの結論として、"電動歯ブラシは、短期的および長期的に手動の歯磨きよりもプラークと歯肉炎を軽減する"とあります。
電動歯ブラシが向いている人・いない人
そして、2025年、ドイツ歯科医学会(AWMF)が発行した最新のガイドラインでも、上記の結果が強く裏付けられました。
このガイドラインでは、
- 電動歯ブラシはプラーク除去・歯肉炎予防ともに明確に効果的
- 特に手先が不器用な人、細かい動きが難しい高齢者、歯周病患者に電動歯ブラシが役立つ
としています。
ただし、2023年、国際的な歯科の専門家チームはこう結論づけました。
すべての患者は電動歯ブラシの恩恵を受ける。ただし、手動でバイオフィルム(歯垢)をしっかり除去できている人にまで、無理に切り替えを勧める必要はない。
つまり、きちんと歯磨きができている人にとっては、電動は“必須”ではないのです。とはいえ、この結論は従来の「手動と電動は同等」という考えから一歩進み、「基本は電動をすすめる」時代に突入したとも言えます。
電動歯ブラシの選び方【2タイプを比較】
電動歯ブラシには、主に以下の2タイプがあります。代表ブランドであるオーラルBとソニッケアーは、両方ともドイツの消費者テストで長年1・2位を争っている、甲乙つけ難い商品です。
回転・反転型(rotierend-oszillierend)
- 丸いブラシが左右に回転して、1本1本をしっかり磨くタイプ
- 代表ブランド:オーラルB
【特徴】
- 科学的エビデンスが最も豊富(Cochraneレビュー 2014)
- プラーク除去・歯肉炎予防において最も高い効果
- 使いこなすには少し練習が必要(手動とは使い方が大きく異なる)
【ドイツの歯科医の見解】
しっかり磨ければ非常に効果的。ただし、使い方を間違えると効果が下がる。
音波型(Schallzahnbürste)
- ブラシを歯に軽く当てるだけで、微細な音波振動で汚れを除去
- 代表ブランド:フィリップス ソニッケアー
【特徴】
- 研究のエビデンスはやや少なめだが、効果はある
- 手動ブラシに近い操作感で、初心者でも始めやすい
- 歯ぐきにやさしく、違和感なく切り替えられる
【ドイツの歯科医の見解】
繊細な振動なので、歯ぐきへの負担が少ない。高齢者にも向いている。
私が選んだのはこれ
こだわり派で真面目な性格の歯科医の友人が、フィリップスのソニッケアーを愛用していると聞き、私も真似して購入しました。(ちなみに、彼女の歯は本当にきれい。)
その友人曰く、「高級モデルである必要はなく、振動モードは最低限で十分。ただし圧力センサーは必須。とにかく正しい使い方を知ること」とのこと。(ちなみに、この記事で紹介している商品はすべて圧力センサー付きです。)
私は歯磨きが下手で、治療した歯も多い方です。電動歯ブラシは性格にも体質にも合っており、歯茎に優しいフィリップスのソニッケアーが特に自分に向いていると実感しています。
軽く当てて移動していくだけで、歯が隅々までツルツルになって、とにかく気持ちがいいのです。
👉使い方の動画はこちらを参照。
ちなみに、中高生の娘と息子にはこれを買いました。本人たちも気に入っているようです。
日本で買うならこれ
次に、日本で買えるソニッケアーをご紹介。舌磨きのアタッチメント付きはとても良いと思います!
お手頃価格で、シンプルなモデルをお探しの方にはこちらもおすすめです。
家族で使うなら、替えブラシも準備しておくと⭕️
口臭ケアその2: フロスは必須!
さて、なぜ歯磨きだけでなく、フロスが必要なのでしょうか。
実は、歯ブラシだけでは約40%以上の歯垢が残ってしまい、口臭や虫歯、歯周病の原因になりやすい、というのはアメリカ歯科医師会(ADA)や複数の研究が指摘しています 。
【ポイント】
- 頻度:毎日1回が目安。ADAも推奨
- 順序:歯磨きの前にフロス→その後歯ブラシが効率的 (参照)
私の愛用品はこちら。
糸フロスをうまく使えない方やお子さん向け。

ドイツの歯科医に勧められて以来、長年愛用しているフロスホルダー。高張力フロスで、狭い歯間も無理なくケアできます。
口臭ケアその3: 舌みがきの重要性
ところで、口臭の約8割は「舌の汚れ=舌苔(ぜったい)」が原因であることをご存知でしょうか。舌表面には細菌や食べカスが溜まりやすく、これが時間とともに分解・発酵して、あのツーンとくるニオイ(揮発性硫黄化合物:VSC)を発します。
Cochraneのような大規模レビューでも、舌磨きの効果は注目されています。インドの研究(12〜15歳の男子54人)では、舌ブラッシングやスクレーパーを使うことで、虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が10日〜3週間で有意に減少したという報告もあります。
口臭ケア=歯磨きと思い込んでいる方は多いですが、実は「フロス→歯磨き→舌磨き」の三点セットこそ、最強の口腔ケア。しかも、舌磨きは毎朝1分もかからずにできる習慣です。
なお、舌磨きはやりすぎに注意。1日1回、朝の歯磨きとセットで行うのがベストと言われ、ブラシやスクレーパーは1〜2ヶ月ごとの交換が推奨されています。
日本では、こちらの専用ブラシをいつもまとめ買いしています。
口臭ケア【仕上げ】重曹水うがい
さて、仕上げは重曹水うがいです。その昔、母は塩で歯磨きをしていたそうですが、以下のエビデンスを見ると、塩での歯磨きが理にかなっていたことがよくわかります。
重曹うがいがもたらす3つの効果
- 口腔内pHの中性化
食後や就寝中に口腔が酸性に傾くと、歯のエナメル質が溶けやすくなりますが、重曹は強いアルカリ性で、これを中和します。 - 細菌の数を減らして口臭ケア
LWW誌に掲載されたレビューでは、重曹水には口腔内の病原菌に対する殺菌作用があるとされています(参照)。また、口臭原因物質(VSC)の生成を抑える可能性があり、口臭ケアにも有効です。 - 唾液pHを上げて虫歯予防
PMCの試験では、重曹うがい後に唾液のpHが有意に上昇し、酸から歯を守ることが明らかにされています。
ポイントと注意事項
- 濃度・頻度:500 mlの水に小さじ1杯(約1 g)の重曹で希釈。食後や寝る前に1日1〜2回が目安。
- 使用順序:「歯磨き・フロス・舌磨き」→最後に重曹うがいが理想。
- 安全性:高血圧や腎臓疾患のある方はナトリウム摂取に注意が必要 。また、過度の使用は歯や粘膜を傷つける恐れもあります 。
まとめ:NO MORE 口臭!
あの頃はよくわからなかったけど、今になってホリエモンの気持ちがよくわかります。私も、絶対に口の臭い中年になりたくない!
これまで説明した4つのステップを今後もずっと続けたいと思っています。
ところで、人間だけでなく、愛犬の口臭ケアもお忘れなく。添加物を一切使わない、ヒューマングレードの口腔ケア用ふりかけ。リピート率98%以上だそうです。
そういえば、我が家の愛犬リアは、生食に切り替えてから口臭がほとんどなくなりました。"BARFに切り替えた1週間後の変化" に詳しく書いてあります。
あ、人間の匂いの話に戻りますが、脇の下を重曹水で拭くと、これまた菌の繁殖を抑え、WAKIGA臭がなくなるそうですよ。
NO MORE 口臭(と体臭)!