THE TOWER HOTEL NAGOYAの噂はですね、「テレビ塔の中にホテルができたらしいよ」と聞いても、最初は「ふぅ〜ん…」でした。
しかし、ネットで調べてみると、鉄骨好きがムラムラする画像がたくさん!
新旧おかまいなく、鉄骨を見ると鼻息が荒くなる持病を持っておりますゆえ、ベルリンでも古い駅や鉄橋にいちいち興奮しながら生活しております。そんなわたくしが、一時帰国中に母を誘って宿泊したのが、テレビ塔のホテル: THE TOWER HOTEL NAGOYA(ザ・タワーホテル ナゴヤ)であります。2026年6月上旬のことです。
名古屋のランドマークである名古屋テレビ塔(現:中部電力 MIRAI TOWER)の中に、2020年10月1日に誕生した「世界初のタワーホテル」。
この記事は、いわゆる「ホテル紹介」ではありません。建築・デザイン・体験を軸に、良かった点はもちろん「ここは惜しかった」という本音も含めて、鉄骨好き視点でお伝えするレビューです。
THE TOWER HOTEL NAGOYAとは
基本情報(車椅子対応)
- 住所:〒460-0003 名古屋市中区錦3丁目6-15先
- TEL:052-953-4450
- URL:https://thetowerhotel.jp/
- チェックイン:15:00/チェックアウト:12:00
- アクセス:地下鉄名城線・桜通線「久屋大通」駅下車、徒歩5分(セントラルパーク地下街内26番出口より直結)/ 地下鉄名城線・東山線「栄」駅下車、3番出口より徒歩5分
- 駐車場:あり(有料)
- 総部屋数:15室(4Fゲストルーム13室/5Fスイート2室)
⚠️注意点:
- 支払い:公式サイトからの事前クレジットカード決済のみ
- 団体・お子様の宿泊について:大人向けのリゾート空間を保つため、3部屋以上または5名以上の団体、10歳以下のお子様の宿泊はご遠慮くださいとのこと(公式サイトより)。
- 車椅子:THE TOWER HOTEL NAGOYAは館内がフルバリアフリーとなっており、バリアフリールーム(フォレストビューツイン)も完備。館内での車椅子の貸し出しも行われているそうです。
「元テレビ塔」という建物の背景
名古屋テレビ塔は1954年(昭和29年)開業、日本で最初に完成した集約電波塔です。2005年に国の登録有形文化財に登録され、2022年12月12日には全国のタワーとして初めて国の重要文化財に指定されました。
THE TOWER HOTEL NAGOYAの開業は2020年、つまり重要文化財指定の前のこと。だから客室の案内パネルには開業当時のままの「登録有形文化財」という表記が残っています。「開業当時は登録有形文化財、今はさらに格上げされて重要文化財」という、このテレビ塔を残そうと奮闘した方達に敬意を払うべき歴史を刻んでいる建物なのであります。そこに泊まれるなんて!鼻息も荒くなりますわ。
全15室というスモールラグジュアリーホテルで、SLH(Small Luxury Hotels of the World)にも加盟。
「アート愛好家のための必見ブティックホテル世界10選」に選ばれたこともあるそうです。各室には東海地方にゆかりのあるアーティスト10名の作品が飾られていて、一室ごとに違う顔を持っています。

THE TOWER HOTEL NAGOYAにしかない見どころ
鉄骨好きから見た、建築・外観の魅力
このホテルの最大の見どころは、なんといっても60年前の鉄骨がそのまま客室にも残っていることです。公式サイトの部屋説明には、こう書かれています。
受け継がれる60年前の鉄骨にふれながら、目の前で感じられる登録有形文化財の趣をお楽しみください
4階のレセプションフロアには、むき出しの鉄骨梁が広がるギャラリー空間があります。リノベーションホテルにありがちな「見せかけの鉄骨風インテリア」ではなく、本物の構造がそのまま生きている。これはもう、鉄骨好きにはたまらないポイントです。


奈良美智の作品
今回の滞在で一番興奮したのが、喫煙室で出会った奈良美智さんの直筆イラストとメッセージです。あ、私は非喫煙者ですが、スタッフの方が案内してくださいました。
額装された作品だけでなく、壁にも直筆の落書きのようなイラストと「WORLD PEACE 世界平和。」といった言葉。ギャラリーに飾られている「作品」ではなく、奈良さんの息づかいが感じられるような、生身のアーティストから発せられるエネルギーを全身で感じる空間となっていました。
ホテルのスタッフさんに聞いたところ、これには裏話があるそうです。あるイベントでホテルを訪れた奈良さんが「描くよ」とその場でおっしゃり、油性ペンで壁一面に即興でイラストとメッセージを描いてくださったのだとか。まさかそこまでしてもらえるとは思っていなかったホテル側は、慌てて壁をパネルで保護したそうです。
しかもノーギャラだったというから驚きです。太っ腹!ロック!かっこよすぎませんか。

夜景・眺望 — 塔から見る名古屋
THE TOWER HOTEL NAGOYAならではの体験が、宿泊者限定で開放される展望台です。公式サイトにはこうあります。
夜には宿泊者限定の展望台へ。THE TOWER HOTEL NAGOYAに泊まった人だけが見ることのできる特別な景色です。ラウンジのお飲み物を片手に、夜景とともに1日を振り返ってみてください。
実際に夜、展望台から見た名古屋の夜景は本当に綺麗で、母も「来てよかった」と喜んでいました。ライトアップされた鉄骨の骨組みが夜に浮かび上がる様子も、昼間とはまた違う魅力があります。
またチェックイン時にレセプションで、早朝にも宿泊者限定でアクセスできる時間帯があるとの案内を受けました(具体的な時間は失念してしまったので、宿泊される方はチェックイン時にフロントで確認してみてください)。
展望台では、人気漫画家「まめきちまめこ」さんとのコラボ展示「にゃんともまめこなミライタワー」にも遭遇しました。かなり前からInstagramやブログで作品を拝見していた作家さんだったので、思わぬ場所でのコラボに興奮してしまいました。
こちらは期間限定イベントの可能性が高いので、訪問時期によっては展示内容が変わっている可能性があります。最新情報は中部電力 MIRAI TOWER公式サイトでご確認ください。

宿泊者専用ラウンジ「on hold」
4階のギャラリースペースにある、宿泊者専用ラウンジ「on hold」もおすすめの一つ。
利用できるのは15:00〜18:00と20:00〜23:00(日によって時間が前後する場合あり)。宿泊者は無料で、ワインやウイスキーなどのアルコール、ソフトドリンクを自由に楽しめます。中でもおすすめなのが、愛知県で造られている「知多ウイスキー」。ハイボールでいただくのが美味しいとのことで、地元ならではの一杯です。


さらに21時からはレストラン「glycine」でワインダイニングがオープンし、22時からは展望台が宿泊者貸切に。ラウンジのドリンクはそのまま展望台へ持って行けるので、地上90メートルの夜景を眺めながら一杯、なんて贅沢な時間も過ごせます。
チェックイン直後にひと息つくもよし、夕食前後に立ち寄るもよし。「on hold」という名前の通り、一度立ち止まってリラックスできる場所として活用してみてください。
客室詳細
予約した部屋・価格
- 部屋タイプ:L13 パークビューツイン(41㎡・バスタブ付き)
- ベッド:1100mm×2030mm ツイン×2
- 宿泊:2026年6月上旬に2泊
- 料金:134,000円 / 2名・2泊・朝食付き(tripla会員登録で6,700円割引→127,300円)
- 予約:公式サイトの予約プラットフォーム「tripla」経由。会員登録すると割引が適用されるうえ、ポイントが貯まって次回の宿泊に使えます。予約前に会員登録しておくのがおすすめです。
客室の設備
私たちが泊まったパークビューツインは41㎡。ツインベッドが2台、バスタブ付きの浴室、窓際にはゆったり座れるソファスペースがありました。
そもそもこの建物は、ホテルとして設計されたものではありません。放送用の電波塔という限られた躯体を、そのままホテルへと生まれ変わらせた場所です。
だから客室には段差があったり、レセプションはこぢんまりしていたり、部屋の真ん中に鉄骨の柱(パネルで覆われています)がどんと構えていたりと、広々として無駄のない空間とは言えません。
けれど、その「少しの不自由さ」こそがこのホテルの魅力でもあるのです。もともとの構造に、人が住まうための工夫を後から重ねていった跡が、そこかしこに残っているからです。
このホテル、実は各部屋がアーティストとのコラボレーションルームになっているのが特徴です。私たちの部屋は、アーティスト杉戸洋(HIROSHI SUGITO)さんとのコラボルーム。壁にはさりげなく作品が飾られていて、内装そのものがアート作品の一部のような感覚でした。



バスルーム・アメニティ
浴室は壁一面がヘリンボーン張りという凝った仕様。オーナーのこだわりだと聞きましたが、それも納得の圧巻の美しさでした。
目地が斜めに規則正しく組まれた壁は、バスルームというより上質なギャラリーに足を踏み入れたような感覚。無機質になりがちな浴室の印象を、この壁一枚がまるごと変えてしまいます。写真で見るより実物の迫力がすごいので、ぜひ泊まって体感してほしいポイントです。(浴室デザインは、部屋ごとに異なります。)
さらに嬉しかったのが、ギャラリーでも販売している入浴剤が部屋に無料で置かれていたこと。これを湯船に溶かし、照明を落としたバスタブにゆっくり浸かる時間は、旅の疲れが一気にほどけるようなリラックスタイムでした。
アメニティも、ブランドロゴ入りのパッケージがぎっしりと収納された引き出しに、無駄なくジャストサイズで並べられていて、細部までデザインされている印象を受けました。(アメニティの種類は、ごく一般的)


ウェルカムドリンク
部屋に着いてすぐテーブルに用意されていたのが、ウェルカムドリンクとスイーツのセット。地元のお茶3種と、それに合わせた一口サイズのお菓子が並んでいて、そのクオリティの高さに「このホテルに来てよかった」と、チェックインしてすぐに思わせてくれました。

食事について
レストラン「glycine」でのお食事、朝食も素晴らしい内容だったのですが、こちらは内容が濃いので後日、別記事にまとめます。地産地消の郷土料理や、宿泊者限定のスペシャル和朝食について詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
惜しかったところ
良かった点ばかり書いてきましたが、正直に「ここは惜しかった」という点もお伝えします。
ラウンジの実情
公式サイトの案内には「東海を代表するドリンクやお菓子がフリーフローで楽しめます」とありますが、実際に置かれていたのは袋入りの駄菓子でした。せっかくのワインや日本酒の質が良いだけに、おつまみとのミスマッチが少し残念でした。一緒に泊まった80歳近い母も、駄菓子を前に少し戸惑っていたのが印象的でした。
照明の暗さと段差
館内は全体的に照明が落とされていて、雰囲気としては素敵なのですが、その分、段差に気づきにくい場面もあります。実際、80歳近い母と泊まった部屋は室内にも段差があり、レセプションから客室までの動線もライトが暗めで、足元には注意が必要でした。
母は普通に歩けるタイプなので大きな問題にはなりませんでしたが、足腰に不安のある方と行かれる場合は、予約時にその旨を伝えておくと安心だと思います。
前述の通りバリアフリールーム(フォレストビューツイン)という専用の客室タイプも用意されているので、該当する方はそちらを指定するのがおすすめです。
「対象層の違い」として捉えるのがフェア
ただ、これは単純な「欠点」というより、このホテルがもともとどんな建物だったかを踏まえると納得できる部分でもあります。全15室という小規模だからこそ実現できた、アート・建築・鉄骨・インダストリアルデザインが好きな人に刺さる、尖ったデザインのホテル。
標準客室はその「個性」を優先した設計になっている分、万人向けの快適さとは方向性が異なります。とはいえバリアフリールームという選択肢もきちんと用意されているので、体の状態に合わせて部屋タイプを選べるのは安心材料。「誰と行くか、どの部屋を選ぶか」によって、印象がはっきり分かれるホテルだと感じました。
まとめ:アート・建築好きに刺さる、尖ったホテル
THE TOWER HOTEL NAGOYAは、「記念日にゆったり過ごしたい」というより、建築・アート・インダストリアルデザインが好きな人にこそ刺さるホテルだと感じました。
60年前の鉄骨、国の重要文化財という背景、東海地方のアーティストたちとのコラボレーション、そして宿泊者だけが見られる展望台からの夜景。どれも「ここでしか体験できない」ものばかりで、鉄骨好きとしては大満足の2泊でした。
ラウンジの惜しかった点はありましたが、とーっても満足しております。名古屋旅行で、ちょっと違う視点のホテル体験を探している方には、自信を持っておすすめできます。
後日公開しますが、食事!食事がすごかったんですー!!!これも熱く語る予定ですので、お楽しみに。
熱海のホテルレビューも書いていますので、旅行・ホテル選びの参考にあわせてご覧ください。
