前回の記事で、サンスーシ宮殿建設にまつわる彼の生い立ちについて触れました。でも、本当に書きたかったのはこっち。
18世紀、あの時代によくそんな改革思いついたね!よく実行したね!やるじゃん大王!!と驚くことばかりやってのけたフリードリヒ大王。
父親であるフリードリヒ・ヴィルヘルム一世は体育会系マッチョ。彼が軍事力による支配を重視していたのに対し、フリードリヒ大王は知恵と理性を駆使して、より平等で公正な国家を目指しました。
「君主は国家の第一の僕である」
国民を支配するのではなく、国民のために尽力するのが真の君主であると言ったフリードリヒ大王。
それを現実化するために、父王から受け継いだプロイセンに数々のテコ入れをしました。その内容がブラボーなのですよ。
もし彼が現代の日本に生きており、権力を持っていたら。日本をどう改革し、まとめあげるのかしら。
そんなことを考えながら記事にしました。
では、具体的な改革を見てみましょう。
フリードリヒ大王の主な改革
官僚制度の見直し
当時のプロイセンでは、官僚制度に多くの問題がありました。賄賂が横行し、権力者たちが特権を持って支配。その結果、一般の人々は不公平な扱いを受けることが多かったのです。(あれ?どこかの国と一緒ですね!)
- 賄賂の厳禁:賄賂を徹底的に取り締まった。
- 官僚の選定:官僚には、専門知識を持った人物を登用。(それまで特権階級による不透明な登用が行われていた。)
- 賃金の改善:官僚に対して適切な賃金を支払い、不正を防ぐためのインセンティブを整えた。(賄賂を求めなくても生活できる環境を整備した。)
- 職務の分業化:役職ごとに明確な役割分担が行われ、業務の効率が向上。
これにより、フリードリヒ大王が改革した官僚制度は、当時のヨーロッパにおいても最も効率的な行政システムとして評価されました。羨ましい限りですね!
法制度の改革
次に彼は、すべての国民が法の下で平等であるべきだと考え、法の運用を徹底的に見直しました。
- 拷問の廃止:当時一般的だった拷問を廃止。
- 裁判官の教育:裁判官は専門的な知識を必須にした。
- 法の透明性:法律が公正に運用されるよう、透明な法制度を導入。これにより、特権階級だけが有利に働くことはなくなり、すべての人々に平等な裁判が提供されるようになった。
肩書きや家柄がどうであれ、悪いことをした人は法に罰せられる。無実な人は法に守られる。この当たり前のことが当時は大変な改革だったわけですね。
義務教育の導入
国家を強化するためには国民の教育が必要不可欠だと考えたフリードリヒ大王。
当時、ヨーロッパでは貴族や富裕層しか十分な教育を受けられませんでした。彼はこれを改め、国民全体に教育の機会を与える改革に乗り出しました。
まず義務教育を導入し、すべての子供が読み書きを学べるよう学校制度を整えました。特に初等教育を重視した結果、国民全体の識字率が大幅に向上。
教育を受けた国民は、産業や文化の発展にも寄与し、プロイセンの国力向上に大きく貢献しました。
それにしても、一般に教育が普及していない時代に教育制度をほぼゼロから整えたって本当にすごいことです!
産業・宗教の改革
経済を強化するために行なったこと
フリードリヒ大王の行った改革は上記だけではありません。彼は国民に対しても、「自分たちの手で国を豊かにしよう」というメッセージを送り続けました。
そして、未開発の沼地を開拓し、農地を増やすことで、国民の食糧供給を安定させました。
また、織物産業や鉱山業を奨励し、国内の産業を発展させました。この結果、プロイセンはより自立した経済基盤を築きました。
このように産業が発展し、プロイセンは経済的にも強い国となりました。その結果、国民の生活も徐々に向上していったのです。
宗教の自由とその影響
フリードリヒ大王の改革の中で、最も有名な宗教に対する取り組みは、信教の自由を推進したことです。
彼は「誰もが自分のやりたいことをやる権利を持つべきだ」„Jeder soll nach seiner Façon selig werden.“ という言葉を残しています。
この言葉は、個人がどのように信仰を持ち、宗教を実践するかは本人に委ねるべきである、というフリードリヒ大王の姿勢を端的に表しています
これには実は実利的な理由もありました。当時、ヨーロッパの多くの国では、特定の宗教を信じなければならないという圧力がありました。
しかし彼は、宗教的対立は国家の発展や安定を妨げると考えたのです。逆に、多様な宗教が共存することで、経済や文化の発展が促進されると見ていました。
そして、プロイセンは他のヨーロッパ諸国に比べて宗教的対立が減少。無駄な対立が減り、お互いに寛容になることで社会全体の安定が保たれ、経済や文化の発展が促進されました。
これ、現代においても、とても重要なことなのでは。
結論: 衆議院選に出馬してほしい
さて、いかがだったでしょうか。
ここには書ききれませんでしたが、実はフリードリヒ大王の功績は、軍事面でも大変評価されています。彼の軍事面での工夫は、当時の常識を打ち破るものばかり。今でも戦術やリーダーシップの教科書として研究されています。
18世紀に彼自身が書いた著書: フリードリヒ大王の戦争学 (ad)
兵士の士気を上げるために行なった数々の工夫は、現在の教育現場や会社組織で大いに役立ちます。どんなに素晴らしい戦術があったとしても、それを実行するのは人ですから。
力で人を動かすのではなく、自ら進んで動きたくなるような仕組みを作ったフリードリヒ大王。
それにしても、彼の功績を知れば知るほど、思わず想像してしまいます。
彼は、自分がサンスーシ宮殿で「憂いなく」過ごすために、平和で安定した国を実現させたかのではないでしょうか。
もし彼のような候補者がいたら。消去法ではなく希望に満ちた思いで投票できるのに、なんて。(私だけではないはず。)
【余談】
しかし、宗教の自由を説き、ユダヤ人に寛容だったプロイセンが、後に正反対の政策を行ったのだと思うと複雑な気持ちになります。