ドイツの教育事情

ドイツへ親子留学、実際のところどうなの?

2023年11月26日

我が家もある意味ドイツに親子留学している形になるのかもしれません。

12年前、子供が4歳と1歳の時に夫の仕事でドイツに移住しました。数年前に夫が日本へ本帰国したので、現在は母子でベルリン暮らしです。(夫婦仲は至って良好)

当たり前のことかもしれませんが、外国人としてドイツで子育てするのは楽しいことばかりではありません。総合的に見てドイツの教育は気に入っていますけど、欠点がないわけではありません。

それなのに、留学のメリットだけをクローズアップし、未成年のお子さんを持つご家庭の親子留学を煽り、全て面倒な手続きはサポートしますからご安心を!と言い、お金を受け取った後ろくなサービスを行わない。そんなふとどきもの(日本人)がいるのです。

ドイツへの親子留学を煽る、悪徳斡旋(あっせん)業者にご注意を!

大使館からも注意勧告が出され、日本人ママたちの間でも名指しで噂になりました。コロナ前の話です。

ですが2023年現在、またそんな話を聞きました。なんだ、あんたたちまだいたのか!

英語もドイツ語もできないまま留学するのはそれなりにハードルが高いので(経験者)、移住や留学のサポートを受ける時は細心の注意を払って依頼したいものです。良心的な業者さんもいらっしゃいますから。

では、親子留学の実態を書いていきたいと思います。

斡旋業者とのトラブル

実際に被害を受けた実例です。

  • 準備してくれたアパートが相場より明らかに高すぎる(本当によく聞く)
  • 契約内容に子どもの学校の手配も入っていたのに、いつまで経っても入学先が見つからない
  • 途中で留学を断念し日本への帰国を決めるも、アパートの契約が2年縛りになっていたため解約ができず、日本帰国後も高額なアパート代を払い続けることになった(説明すら受けていなかった)
  • 子供が病気になり病院へかかったが保険に加入できていなかったため、高額な医療費を実費で支払うことになった(業者が手続きを怠っていた)

あくまでもほんの一部。もっと色々あります。

トラブルになっても訴えることすらできず泣き寝入り&帰国。せっかくドイツまで来て親子留学に胸を膨らませていたのに、まさか同じ日本人からこんな仕打ちを受けるなんて。本当に残念なことです。

学校に馴染めない

ドイツの学校と日本の学校の相違点を挙げてみますと、

  • 授業がディスカッション形式(日本のように黒板に書かれた文字を写す授業スタイルではない)
  • 成績は授業中の発言を重視(テストの点数より重視)
  • 担任のサポートは期待できない

実際、ドイツの学校で育った息子が日本の私立校へ3ヶ月間留学したときに、この違いに一番驚いていました。

この時のことを逆留学シリーズとしてまとめてあります。

発言ありきのドイツの学校は、ドイツ語が喋れない上に内向的な子にとって本当に大変だと思います。

それに加えて、ドイツの学校は日本と比べると教師と生徒の関係はドライです。

授業で遅れを取っても、教師はサポートしてくれません。したがって家庭でサポートするしかありません。それができず成績が悪すぎると、留年するか学校を移るか悩むことになります。

病院にかかる時

大抵の医師は英語も喋りますが、怪我や病気の事を説明したり聞き取ったりすることは簡単ではありません。

2年前に息子が道端で転び足を骨折した時のことです。運よく通りすがりの人(美女)が助けてくれ、自宅にいた私への連絡、救急車の手配など全部やってくれました。もし私一人でやらなくてはならなかったらと思うと冷や汗が出ます。

駐在員村でもある某市には日本人通訳のいる歯医者がいくつかあります。

実は、日本人通訳のいる歯科医では保険の限度額ギリギリまで高額な治療をされることが多いのです。

ある一定の期間が過ぎると日本へ帰国してしまう駐在員からは、後腐れなく吸い取るだけ吸い取ります。医者だけでなく通訳の日本人までが高額治療をするよう上手に誘導します。かなりの駐在員がインプラントを入れられているのもそういうことです。

そう、現地で仕事を持つ永住組の日本人は、必ずしも日本人の味方ではありません。ドイツ語を喋れず会社のお金で贅沢な暮らしをしている駐在員を心の中で見下したりカモったりしている人は、日本人に限らず少なくありません。

外国に住み、その地の言葉を喋れないということは、そういうリスクも伴います。私も日々痛感しています。

が、何度でも言いますが、一部の人の話であって、親切な方のほうが多いのでご安心を。

息子(16歳)と娘(13歳)にも聞いてみた

息子は現在ギムナジウム11年生(高校2年)です。昨年、10年生の時に3ヶ月間日本へ短期留学し、初めて母国で日本の授業を体験しました。その息子に親子留学について質問してみました。

jucom
jucom
ねえねえ、日本からドイツに留学するのってどう思う?例えば5年生からとか、9年生からとか
日本からドイツのギムナジウムに?難しいでしょ!
息子
息子
jucom
jucom
(はやっ)なんで?
授業で発言できないと成績つかないし、先生も日本みたいに親切じゃないから。人間関係も日本とは全然違うから友達作るのも大変そう。まあ、いずれにせよ日本語とドイツ語は全く違うから、猛勉強するしかないね。
息子
息子

日本との違いを実体験した息子はかなり厳しい見解でした。冷たいわ…。

次は娘。現在ギムナジウム8年生、日本の学校は未経験。

jucom
jucom
ドイツ語を全く喋れない日本人が、あなたと同じ8年生に3年間だけ留学するのってどう思う?
いいんじゃない?きっと周りの子が助けてくれるよ!
娘

やっとポジティブな意見が!娘らしいおおざっぱな意見に吹き出してしまいました。

でもまあ、あくまでも個人の意見ですのでね。

日本からドイツのギムナジウム9年生に転校し、それこそ猛勉強してAbi(大学入学資格)を取った子もいます。元々日本の名門私立校に通っていて、ドイツへ来てからは猛勉強したそうです。それでも授業中に発言できないから成績が上がらないとボヤいていましたが。

子供が望んでいるかどうか

子供が強く望んで留学するのではなく、親が強く望んだ場合に「親子留学」という形をとることが多いようです。

学校教育の違いや文化の違いは、良い面も悪い面もあります。きっと人種差別も経験します。

お子さんの性格によっては、慣れるまでとても時間がかかるかもしれません。

だから、明らかにお子さんが望んでいないことを親のエゴで強行するのは酷だと思うのです

年齢にもよるとは思いますが、本人の意思がある程度固まるまで、焦らず準備に時間をかけても良いのではないかと思います。

我が家も夫の帰国が決まった時に子供の意思を尊重しました。メリット・デメリットを理解した上で彼らがドイツに残ることを強く希望し、それについて夫婦でも話し合いを重ね、現在の形に収まっています。

少しだけドイツ語を勉強しておく(理想)

流暢に会話できなくても良いから、せめて少しの単語を拾って聞き取ることができるようになっておくこと。

そうすれば子供が友達を作りやすくなります。友達ができれば学校生活はあっという間に楽しいものになります。そこから親の方も友人関係が広がります。

でもまあ、あくまでも理想ですから。

ある程度のレベルまでドイツ語をマスターしてから現地校へ移れるように、「ウエルカムクラス」という制度がありますので、それを利用することもできます。(ググってね)

うちの場合は家族全員ドイツ語ゼロで移住しましたが、子供の年齢が低かったので何とかなりました。息子は全く人見知りせず、幼稚園に通い出したらあっという間にドイツ語を習得。そこから現地の小学校へ入学したので、比較的スムーズにドイツに順応した方だと思います。

それでも、過去記事に書いたように差別を受けたり、娘がクラスメイトと馴染めなかったり、色々と大変なことがありました。

資金力が大事

本当に大事です!

たまに、すぐに仕事を見つけて自力でガンガン交渉して生き延びられるタフな方もいらっしゃいますよね。私にはなかなかできないので、本当に尊敬します。

そうでない場合は、ぼったくられても痛くも痒くもないほどの資金があると安心ですね。口座の残高が高ければ高いほど、滞在許可も取りやすくなります。

そしてドイツは住居費も光熱費も食費も高いです。

その他にもドイツ語を習得するまではサポートサービスを利用したり、書類作成を外注したり、全てお金がかかります。

良心的なサポートサービスを選ぶ

12年前に何も知らずドイツへ来て、ドイツ語に本当に苦労しました。移住したての頃は子供の学校の保護者会が嫌で嫌で、数日前から胃が痛くなっていました。今では胃は平気になりましたが、ドイツ語は相変わらずショボいです。

そんな中でも楽しく生活できているのは、目標があり、大好きな仕事があるから。でも何より感謝しているのは、尊敬する友人たちの存在です。

その尊敬する友人の1人が移住サポートを仕事としているので勝手に紹介させてください。(Junkoちゃんごめんよ)

CC-Nippon 移住サポートサービス

彼女は悪徳業者に騙された人たちのケアなどもしており、何度もやるせない思いになったそうです。悪徳業者が一番悪いのですけど、中には親のエゴで子供が犠牲になっているパターンもあったそうです。一番の被害者はいつもお子さんなのだと言っていました

留学や移住は大変なことがたくさんありますが、それでも人生を大きく広げるかけがえのないチャンスです。素晴らしい出会いもたくさんあるでしょう。

どうか、新しい挑戦をする人たちが正当なサービスを受け、夢を叶えられますように。

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