我が子はドイツの学校で性教育を受けています。現在13歳の息子と10歳の娘の話。(この記事は、2020年4月に書いた記事です)
私が日本で受けた昭和の性教育とは違い、ドイツの性教育ってばかなり具体的な内容なんですよ。
とても興味深かったのと、家庭でもう少し踏み込んだ話をすることが重要だと思ったので、今回はテーマとして取り上げてみました。
ちなみに私はなるべく性については子どもの前でオープンにするように心がけています。聞かれたことはとりあえず平然とした態度で答えます。
内心はめっちゃ動揺する時もあるのですが、あくまでもポーカーフェイス。
なぜかというと、性に関しての質問がタブーだと思われたら、何か悩みがあった時、私を頼れなくなるのではと思ったからです。
別に友人同士で話し合って解決する内容であれば、わざわざ親に報告や相談をする必要はありません。
でも、もし子供だけで解決できないことがあったら?友達には言えない悩みがあったら?
そんな時「うちの母ちゃんだったらきっと大丈夫」だと安心して相談してもらえるように。
そんな願いから、あえてオープンな態度を貫いております。ドンと来い。
では、ドイツの性教育と我が家の方針について、そして日本が抱える問題について書いてみたいと思います。
ドイツの性教育
小学校の性教育
ドイツでは大体小学校3、4年生で性教育の授業が始まり、性器を含む体各所の名称や、赤ちゃんの作り方などを学びます。先生は堂々とオープンに説明し、子供たちも恥ずかしがりつつも興味津々に学びます。(州ごと、学校や教師によって内容に差があります)
彼らの学校では、最初は「花や植物はどうやって種を作るか知ってる?」「じゃあ虫や動物は?」という、生物の話から入ったそうです。
そう、セックスは決して恥ずかしい行為ではいのです。地球上の生物が当たり前に行ってきた、自然に組み込まれた行動の一部なのですよね。それを理解させた上で、じゃあ人間の場合はどうなのかと妊娠の仕組み等を学ぶ。そしてその後に具体的な注意点などの話題になったそうです。
注意点というのは、男性と女性のセックスへの観念の違いや、必ず同意の元に行われるべきであること、相手が望まない場合は絶対に行わないこと、妊娠の可能性がある分、女性の精神と体を労わらなくてはならないこと等々。
先生のプライベートの体験も話す!
男性教師が「好きな相手とセックスすると最高に気持ちがいいし幸せだけど、好きでもない相手と行為をしたところで、気持ちよくないし虚しいだけだよ」と釘を刺す場面もあったそうな。
この、先生が"一当事者"として話をするのはとても良いことだと思いました。「一般的には」なんて話をしても、子供は絶対にピンとこないと思うのですよ。他人事と言いますか。でも、先生が経験者として対等に話をすることにより、生徒の方も自分に置き換えて話を聞けたのではないかと思います。
それにしても、ドイツの性教育ってこんなに開けっ広げなんですね!
ギムナジウムで再び性教育
7年生(中1)になった息子は、コンドームの付け方の指導、セックスについてもっと掘り下げた内容を学んだそうです。
望まない妊娠や犯罪などを防ぐために、一旦時間を空けてから再度学ぶのはとても効果的だと思いました。小学校と合わせると、性教育のテーマを取り上げるのは合計3回ほど。中には女子だけ別室で何か話を聞いていた日もあったそうです。
女性の体の仕組み、生理のメカニズム、生理中の体調やメンタルの変化なども詳しく学ぶそうです。ドイツの性教育、なかなか手厚いフォローをしてくれます。
心の友、オランダ在住ライターの倉田直子ちゃんがこんな記事を書いています。素人の私の記事よりよっぽど内容が濃く読みやすいので、ぜひリンク先を覗いてみてください。
小学生がコンドーム装着実習…オランダの性教育がすごい! FRaU
息子のギムナジウムでも、男性器のハリボテにコンドームを装着する授業がありました。
そして興味深かったのは、"オランダでは16歳の子供を持つオランダ人の親の9割が(仮の想定として)「家に泊まりに来た子供の恋人が子供と同じ寝室に泊まることを許容する」" とのことですが、これはドイツでも同じなんですよね。
自宅への宿泊だけでなく、長期休暇の家族旅行に子どもの恋人を一緒に連れていくことも少なくありません。
私もいつか我が子に恋人ができたら日本へ一緒に行きたいなーなんて考えています。
我が家の性教育
息子の場合
小学生の頃(10歳)、ドイツの性教育の授業で初めてセックスっちゅーもんが何なのかを知った息子は、学校から帰宅して
「ぼく、やっとセックスが何かわかった。ねえ、お母さんとお父さんもセックスしたからぼくが生まれたの?」
と言い放ちました。
一瞬の動揺を隠しつつ、普通に明るく「そうだよ。当たり前じゃん!」と返してみたら、謎の雄叫びをあげてましたよ。ういやつめ、大人ナメんなよ。
そんな私に安心したのか、息子の質問がどんどん踏み込んだ内容になってきましてね。
「お母さんが初めてセックスしたのは何歳?」
「お父さんとお母さんは、2回セックスをしたってことだよね。だってぼくと妹と2人産んだから」
などなど。ちなみに1つ目のには「内緒」(夫への配慮)、2つ目には「もっといっぱいしたよ❤︎」と答えておきました。(息子は後ろに倒れ込んでいた)
娘の場合
娘ももちろん10歳頃になってドイツの性教育を受けてから、私を質問攻めにしましたよ。その質問がまた…。
「お母さんはお父さんが初めての相手なの?」
「お父さんの前に何人くらいの人と付き合ったの?」
「何でその人たちとは結婚しなかったの?」
「別れた理由は?」
とか、グイグイ突っ込んだことを聞いてくるんですよ!こわい!女子怖い!
聞かれたことに全部答えてあげたいけど、答えたら母親として終わる気がする!
だって私の過去の恋愛なんてアレですよアレ。
一瞬でめちゃくちゃ考えた結果、夫が初めての相手ではないことを正直に伝えて、人数は何人だっけなーお母さんモテたからなーとすっとぼけてみました。
別れた理由は付き合ってみて「合わない」と思ったからで、お父さんだけが「結婚したら楽しいかも」と思った相手なんだよと。心臓バクバクでした。
もっと具体的な話は娘に彼氏ができてからのお楽しみですかね。
生理の体調をあえて伝える
そんな2人を相手に、最近あえて話題にしているのは生理のこと。
半年ほど前でしょうか。日曜にプールへ行きたいと言い出した2人に、「ごめん、お母さん生理なんだ。泳ごうと思えば泳げるけど、今日はちょっとだるいから泳ぎたくないな。」と伝えたら、ちょっと考えてからなんとなく想像したみたいで、納得していました。
私は生理が軽い方ですが、体がいつもより調子が悪いと、わざとアピールをする時があります。
女性は人生の半分を、毎月1週間弱は血だらけで過ごすわけです。つまり1ヶ月の4分の1は生理なんですよ。あの不快感や面倒臭さを、世の男性はもっと知った方が良いし、女性も隠さない方が長い目で見ると世のためになるのでは。
いずれにせよ、生理中の外出は「荷物が増える・まめにトイレに行く必要がある・衣類に漏れるほど出血する・疲れやすい・眠い」ってなることを、特に夫や息子にはきっちり教えておかないと。
避難所のナプキン問題について考える(2024年1月追記)
ただの無知では済まされない、根が深い問題
この件に関して、私は以下の記事を読みながら何度も何度も頷いてしまいました。男性も女性もぜひ読んでいただきたい記事です。
"間仕切りから考える災害と女子" 雨宮処凛さんの記事
これらの問題は1995年の阪神淡路大震災時からありました。それから約30年経ったのに、能登で同じことが起きています。
各地で震災が起きるたびに、似たような人たちによって同じようなことが繰り返されていると思うと、やりきれない思いになります。
無神経な男性を量産しないために
で、ここまで考えると、いつもこの記事を思い出すのです。我が子が性犯罪を冒した時、責任を感じて自分を責める母親と、事件から目を逸らす父親について。
「育てられ方」と性犯罪は相関関係があるのか 東洋経済オンライン
結局、避難所の問題とここに書かれている父親の問題は根っこがつながっていると思うのです。
優しいうちの夫ですら、性や生理に関して配慮に欠けた失言をして私を真顔にさせたことがあります。子供との関わり方も夫婦で差があるのも感じています。
日本では、男女関係なくこういったセミナーを義務化したら良いかと。
他にも、フクチマミさんの本は明るいタッチで、ポイントはきっちり押さえてあります。生理のこともしっかり書かれていますので、一家に一冊いかがでしょう。