新フードガイド最終章は、乳幼児や子どもに関しての情報が中心となっています。実際、原本の新フードガイド内のSpecial Populations & Considerations(特定の集団と配慮事項)という章は全4ページある中、乳幼児に関しては1ページ以上を割いています。
ご存知の通り、第1部から第3部にかけて、米国の新フードガイドラインの内容を、分割して(有料版チャッピーの)翻訳を載せてきました。
- 第1部|食事指針が変わった理由
- 第2部|たんぱく質の重要性と食品リスト
- 第3部|加工食品・砂糖・精製炭水化物を減らす
- 第4部|妊婦・乳幼児・高齢者・慢性疾患の場合(本記事)
しかし、これらのガイドラインに沿って食習慣を変えていくのは簡単ではありません。だって、加工食品や添加糖の刺激的な味に慣れた味覚を変更するのは大変ですもの。
だからこそ、幼い頃から味覚を整え、体に良い食べ物を自然と選ぶ習慣を身に付けることが重要なのですね。新フードガイドで乳幼児への指導に力を入れている理由が見えてきます。
新フードガイドのもう一つの特徴は、乳幼児期から高齢期まで、ライフステージ別のアドバイスです。
ご自身やご家族の状況に照らし合わせながら読んでみてはいかがでしょうか。ひょっとすると、より興味深く感じられるかもしれません。
では、早速読んでみましょう。
乳幼児期から思春期まで
Infancy & Early Childhood(Birth–4 Years): 乳幼児期(出生〜4歳)
生後およそ最初の6か月間は、母乳のみで育てることが推奨されています。母乳が利用できない場合は、鉄分強化された乳児用粉ミルクを与えます。
母親と子ども双方が望む限り、2歳以降も授乳を続けることができます。乳児用粉ミルクを与えている、または補助的に使用している場合は、生後12か月で粉ミルクを終了し、全脂乳を与えます。
母乳で育てられている乳児、および1日に32オンス(約950ml)未満の乳児用粉ミルクしか摂取していない乳児は、出生後まもなくから、1日400IUのビタミンDを経口で補給する必要があります。ビタミンDの補給については、医療専門家に相談することが求められています。
一部の乳児では、鉄分の補給が必要となる場合があります。鉄分補給については、医療専門家に相談してください。
生後およそ6か月頃から、固形食を始めることができます。ただし、固形食を導入する際も、授乳または粉ミルクの継続が重要です。生後12か月までは、母乳または乳児用粉ミルクが主要な栄養源であり続けます。
【乳児のアレルギーに関して】
重度の湿疹や卵アレルギーがあるなど、ピーナッツアレルギーのリスクが高い乳児の場合は、生後4〜6か月という早い段階でのピーナッツ導入について、医療専門家に相談することが求められています。これについては、少量のピーナッツバターを母乳や粉ミルクと混ぜて安全な濃度に薄め、スプーンで与える方法があります。
軽度から中等度の湿疹がある乳児は、生後6か月頃にピーナッツを含む食品を導入します。
ナッツバター、卵、甲殻類、小麦など、アレルゲンとなる可能性のある食品は、生後およそ6か月頃に、他の補完食とともに導入します。食物アレルギーのリスクや、安全な導入方法については、医療専門家に相談してください。
乳児には、適切な食感で、多様な栄養密度の高い食品を与えることが推奨されています。その一方で、栄養価の低い食品や高度に加工された食品は避けるべきとされています。
補完食期に導入する栄養密度の高い食品の例
- 肉類、家禽類、魚介類
- 野菜および果物
- 全脂ヨーグルトおよびチーズ
- 全粒穀物
- 安全な形状に調理された豆類、ナッツ類、種子類を含む食品
乳幼児期には、添加糖を避けることが求められています。
Introducing Food to Infants & Toddlers(乳幼児への離乳食導入について)
子どもの発達には個人差があります。以下のような発達のサインが見られたら、食事を始める準備が整っている目安とされています。
- 支えがあれば座れる、あるいは自分で座れるようになっている
- 首がしっかりすわっている
- おもちゃや食べ物など、小さな物をつかもうとする
- 物を口に運ぶ
- 食べ物を差し出すと口を開く
- 食べ物を舌の前方から奥へ動かして飲み込める
- 食べ物を押し出さず、きちんと飲み込める
親や養育者は、新しい食品を何度も与えることで、健康的な食習慣を促すことができます。子どもが新しい食品を受け入れるまでに、8〜10回の試行が必要になることもあります。
また、大人自身が健康的な食行動を示すことも重要です。
Middle Childhood(5–10 Years): 学童期(5〜10歳)
- たんぱく質食品
- 乳製品
- 野菜
- 果物
- 健康的な脂質
- 全粒穀物
など、栄養密度の高い自然な食品を中心にした食事を心がけます。
全脂乳製品は、エネルギー需要を満たし、脳の発達を支えるうえで、子どもにとって重要とされています。
Adolescence(11–18 Years): 思春期(11〜18歳)
思春期は急速な成長期であり、エネルギー、たんぱく質、カルシウム、鉄分の必要量が増加します。特に、月経のある女子では鉄分の必要性が高まります。最大骨量を形成するためには、十分なカルシウムとビタミンDが不可欠です。
思春期の子どもは、乳製品、葉物野菜、鉄分を多く含む動物性食品など、栄養密度の高い食品を摂ることが求められています。その一方で、砂糖入り飲料やエナジードリンクは大幅に制限しましょう。高度に加工された食品は避けるべきとされています。
カフェインを含む飲料は避けるよう求められています。
添加糖については、推奨される摂取量は存在しないと明記されています。
料理を楽しいものとし、家庭の日常的な習慣として取り入れることが勧められています。
栄養価の高い食品へのアクセスが限られている場合には、医療専門家の指導のもとで、強化食品やサプリメントが必要になることがあります。
買い物や調理に積極的に関わることで、生涯にわたって健康的な食選択ができる力を身につけることが期待されています。
成人期以降
Young Adulthood(若年成人期)
食事指針に従うことは、この時期の最適な健康を支えます。さらに慢性疾患の発症や進行リスクを低減し、さまざまな健康面を支えるとされています。若年成人期においても、脳は成熟を続けています。骨密度の大きな増加は思春期に起こりますが、最大骨量と骨強度を最適化することは重要です。
また、
- 健康的な脂質、鉄分、葉酸(女性)
- 健康的な脂質とたんぱく質(男性)
に重点を置くことで、生殖に関する健康も支えられるとされています。
Pregnant Women(妊婦)
妊娠期には、母体の健康と胎児の成長を支えるため、栄養素の必要量が増加します。特に重要なのは、鉄分、葉酸、ヨウ素です。
妊婦は、
- 鉄分を多く含む肉類
- 葉酸を多く含む緑色野菜や豆類
- コリンを多く含む卵
- カルシウムを多く含む食品
など、多様な栄養密度の高い食品を摂取することが求められています。
妊娠中は、毎日の妊婦用ビタミンの摂取について、医療専門家に相談することが勧められています。
Lactating Women(授乳中の女性)
授乳期には、母乳の生成と母体の健康を支えるため、エネルギーおよび栄養素の必要量が増加します。
授乳中の女性は、肉類、家禽類、魚介類などのビタミンB12を多く含むたんぱく質源を含め、栄養密度の高い食品を幅広く摂取することが求められています。
授乳中に栄養補助食品が必要かどうかについては、医療専門家に相談することが推奨されています。
Older Adults(高齢者)
高齢者の中には、必要なカロリー量は少なくなる一方で、たんぱく質、ビタミンB12、ビタミンD、カルシウムなどの重要な栄養素は、同等またはそれ以上に必要となる人もいます。
これらの栄養素を満たすため、乳製品、肉類、魚介類、低水銀のオメガ3脂肪酸を多く含む魚(サーモン、イワシ、マスなど)を優先することが求められています。
食事からの摂取や吸収が不十分な場合には、医療専門家の管理のもとで、強化食品やサプリメントが必要となることがあります。
個別の調整が必要なケース
Individuals with Chronic Disease(慢性疾患のある人)
食事指針に従うことは、特に心血管疾患、肥満、2型糖尿病などの慢性疾患の発症を防ぎ、または進行を遅らせる助けになるとされています。
慢性疾患がある場合は、自身の状態に合わせて食事指針を調整する必要があるかどうか、医療専門家に相談することが求められています。
特定の慢性疾患を持つ人の中には、低炭水化物食に従うことで、より良い健康結果が得られる場合もあります。その場合は、医療専門家と連携し、自身の健康状態に適した食事法を選択します。
Vegetarians & Vegans(ベジタリアンおよびヴィーガン)
乳製品、卵、豆類、エンドウ豆、レンズ豆、豆類全般、ナッツ、種子、豆腐、テンペなど、特にたんぱく質を多く含む多様な自然食品を摂取することが求められています。
添加脂肪、砂糖、塩分を多く含む高度に加工されたヴィーガン・ベジタリアン食品は、大幅に制限することが求められています。
ベジタリアンやヴィーガンの食事では、栄養素の不足に特に注意を払う必要があります。ベジタリアン食では、ビタミンD、ビタミンE、コリン、鉄分が不足しやすく、ヴィーガン食では、ビタミンA、D、E、B6、B12、リボフラビン、ナイアシン、コリン、カルシウム、鉄分、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛、たんぱく質など、より広範な栄養素が不足しやすいとされています。
特に、鉄分、ビタミンB12、ビタミンD、カルシウム、ヨウ素については、定期的に栄養状態を確認することが求められています。
栄養不足を避けるため、目的に応じたサプリメントの使用、植物性たんぱく質源の多様化によるアミノ酸バランスの確保、調理法によるミネラル吸収率の向上が推奨されています。
——翻訳ここまで——
第4部の感想
乳幼児に関する指針に共感
新フードガイド第4部は、特に乳幼児に関して、共感した内容が3点あります。
まず、母乳育児を基本としながらも、
「2歳を過ぎても、母子双方が望むのであれば、母乳を続けてよい」
と明記されている点です。期限や年齢で区切るのではなく、親子それぞれの状況を尊重する姿勢に賛成です。
次に、離乳食の開始時期について。乳児の成長や発達に合わせて調整すべきと、発達の見極め方を丁寧に説明しています。これは、実に理にかなったアドバイスだと思います。
最後に、この一文を。
「買い物や調理に積極的に関わることで、生涯にわたって健康的な食選択ができる力を身につける」
これぞ食育ですね。
実際に私自身も、育児の中で、こうした考え方を大切にしてきました。月齢や周囲の基準より、その時々の子どもの様子を見ながら判断する。その積み重ねが、親子関係を良好に導いてくれる気もします。
ただし、全体を通じて気になるのは、乳製品の摂取について。乳糖に耐性がない人もいるはずなので、この辺りは体質に合わせて判断すべきかと。
日本のガイドラインとの比較
比較してみると、内容そのものに加えて「情報の伝え方」の違いに気づきます。
米国は、まず公式サイトを開いた瞬間に、何を伝えたいのかが一目で分かり、ハッとしてグーです。「本物の食べ物を食べよう」というメッセージ、問題点、原因、そして具体的な行動指針までが、同じ流れの中で整理されています。さらに章立てもシンプルで、ライフステージ別の情報にもすぐにたどり着ける構成。
一方、日本にも厚生労働省と農林水産省が関わる「食事バランスガイド」があります。ただ、ページが複数に分かれ、PDFや別資料に飛ばされる構成。全体像も掴みづらくなっています。
また、内容面でも違いがあります。米国のガイドラインは、超加工食品や甘い飲料といった問題点を具体的に挙げ、かなり踏み込んだ内容。一方、日本は、特定の食品や業界に直接言及せず、「バランスよく」「適量を」といった抽象的な表現が中心です。
それでも日本には昔ながらの伝統食をはじめ、良い文化が多く残っています。いつか政府が、国民のために、誰にでもわかる形で公式なガイドラインを示してくれる日が来るといいですね。
では、このシリーズは以上となります。
長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。
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