前回までのあらすじ
担任の先生がアレだったんで、小学校を4年で終えて5年生からギムナジウム進学を決意した息子。が、引越したばかりでギムナジウムに関する情報に乏しく手詰まり状態。困った時の条件書きとばかりに理想のギムナジウムの条件を書き出した私。
条件書きしてもなかなか環境は動かず、どんどん時間がだけが過ぎて行く。でも今までの経験上焦ると良いことはないので、とにかく考えないようにしていました。大丈夫、今までも条件書きした後は必ず何かの手立てが出現したのだから今回も大丈夫!と自分に言い聞かせて。
11月のある日。いつものように子供達を連れて公文へ行きました。ドイツ人の先生が主催の公文教室には様々な国籍の子供が通っていますが、それまで日本人に会ったことはありませんでした。ところがこの日、珍しく黒髪のアジア人が母子で現れたのです。
日本人なのかと気になりつつ彼女を観察していると。
椅子に座る瞬間に彼女の口から漏れたのは
「…よいしょ」
…はい、
日本人確定ーーーーーーーーー!!
久しぶりに会う日本人に嬉しすぎて、鼻息荒く「も、もしかして日本人の方ですか!?」と声をかけ、あれこれ話に花を咲かせました。内容が子供のことになった時、彼女は
・お子さんが5年生からギムナジウムに進学したこと
・理系のギムナジウムに通っていること
・うちからバスで通える範囲にそのギムナジウムがあること
・そこに通わせて良かったと思っている理由あれこれ
などと話していて、あれ、今もしかして知りたかったこと全部聞けちゃった気が…
さっそく息子の事情を説明し質問ぜめにする私に、彼女は親切に色々と教えてくださいました。それまでの私は理系のギムナジウムに入試があることすら知りませんでした。4年生前期の成績により受験資格の有無が決まり、その成績と小学校からの推薦状を持って願書提出に行くこと。合否は成績と試験結果、50:50で決まること。試験内容は小学校で習ったことが出るわけではなく習っていない内容が出るが、正しい答えを書くことよりも発想や問題に取り組む姿勢を評価されること。
すべて彼女から教えてもらいました。
そして、彼女のお子さんが通っているギムナジウムが私たちの望むギムナジウムの条件とぴったり一致したので、迷わずそこに願書を出すことにしました。やっと、やっとスタートできる!
と思ったのもつかの間、ここからも大変でした。
11月半ば、推薦状をもらうため例の担任の先生に推薦状の要望書?を書かなくてはならず、頭を抱えました。すっごく丁寧な文章を作りドイツ人の友人にチェックしてもらい、無事に提出。
1月末、前期の成績表を受け取ると、息子の成績はぎりぎり受験資格範囲内。推薦状を無事にもらえました。
3月、願書の書き方が全くわからず心が折れそうになるも、別の友人が手を差し伸べてくれ立派な願書が出来上がりました。無事提出。その次の週に試験。
こうして書いてみると簡単に見えますが、小難しい単語や文章、慣れない手続きの連続に、なんども泣きそうになりました。友人が見かねて助けてくれなかったら今頃どうなっていたことか。
試験問題は案の定、見たことも解いたこともない問題がA4の紙4枚分出たそうですが、1問を除いて全て埋めたそうです。息子も頑張りました。
5月、合格通知が届きました!恐る恐る封筒を開け、「Wir freuen uns….(私たちは嬉しく思います、楽しみにしていますの意味)」という文章を読んだ瞬間、息子と抱き合って飛び跳ねてしまいました。ついでに「〇〇先生(担任)あばよっ!!!!」と叫んだこともこの先きっと良い思い出になることでしょう。(相変わらず大人気ない)
早速、公文で出逢ったママに報告し、共に喜びを分かち合いました。後から知ったのですが、彼女はその日たまたま用事があってお子さんの公文についてきたけど、いつもはいらっしゃらないそうなんです。しかも、そこの公文教室は平日の14:00〜18:00の間ならいつでも好きな時間に来て良いことになっていて、あの日あの時あの場所で偶然に出会うこと自体、奇跡中の奇跡だったのです。念ずれば通ず、本当にその通りなのですね。
もっと遡ると、そもそも担任の先生がアレだったのが全ての始まりで。先生がとーっても良い方だったら、きっとこの学年でギムナジウム受験なんて考えなかったと思います。それはそれで幸せなことなのでしょうけど、勉強のできるクラスメイトは皆、5年生からギムナジウムへ行ってしまうので勉強が好きな息子にとっては物足りない残りの小学校生活になっていたかもしれない。(これも後から知りました)
だから、結果として私たち親子は万々歳なのです。担任の先生が嫌な人でよかった!ありがとう!!!(これも息子と叫んだ)
目の前に転がる問題の中には、なんで自分がこんな目に…とか、なんでうちの子がこんな目に…と思うものがあります。でも、目線を少し上げて遠くの目的地に焦点を当てながら進んで行き、後から振り返って考えてみると「ああ、なんだ、あのおかげで!」と思える時が来るかもしれない。
よく考えたら私の人生だってそれの繰り返し。今までだってちゃんと起承転結がありました。
息子が先生からネチネチと嫌な思いをさせられている時、焦点を先生に当てなくてよかった。息子の将来に焦点を当てて考えて本当によかったなあ。
【教訓】目の前に転がった問題は、人生を好転させるきっかけに過ぎない。
以上、3部に渡ってお送りした「アレ」な話。おしまいです。
めでたしめでたし。(多分)