娘が立ち上がった日

Tuesday 29 November, 2016

インスタでは狂ったようにインテリアの写真とかインテリアの写真とか枯れた草花の写真とかアップしている私ですが、その陰では悩んだり迷ったりする時もあるわけで。
ってみなさん同じなんでしょうけど。
最近私の頭を悩ませていたのは娘のこと。

どうも小学校でなかなか友達ができないらしくて。休み時間に一緒に遊ぶ子がいないのでいつも4年生の兄のクラスへ行っていると本人から報告を受けたんですよ。クラスの子に一緒に遊ぼうと声をかけても断られるし、皆はそれぞれ仲の良い子と遊んでばかりいて、自分のことを気にかけていないみたいだと。

でもまあ私たちは夏に引っ越して来たばかりだしね。他の子は近所の幼稚園からそのまま入学してるからグループ出来ちゃってるもんね。でも1年生だし、そのうちすっごく良いお友達ができるよーなんて一応娘をなだめた。なだめたけど同じことが4日も5日も続けて起こるとさすがに心配になってくる。


「日本人で見た目も珍しいから避けられているんじゃないか」「まさかクラス中からハブられてるんじゃないか」なんてもうマイナスな想像が脳内でエンドレス。でも、本人は「学校生活自体は楽しい」って言うし、とりあえずもう少し様子をみる日々だった……のですが!

ある日夕飯を食べながら娘がポツリとこぼしたんです。「今、学校ですごく嫌なことがある」と。お、おう…。母ちゃんすっごくドキドキするぞ…。

ポツリポツリと話し出した娘。
クラスのジャイアン的存在の女の子が一度だけ、娘の名前の後に「カッカ(うんこ)」をつけて呼んだこと。その時周りにいたクラスの子がそれを笑ったこと。ある男の子がその時からずっと娘のことを「カッカ」と呼んでくる。何度やめてと言ってもやめてくれない。それがすっごく嫌だ。

なんてこった。自分の娘がクラスでうん子呼ばわりされているとは!
これって、言っている相手がどの程度の悪意を持っているかを別にしても本人にとっては屈辱的で苦痛なことよね。
娘によると、何度もその呼び名は嫌だと言っているのにしつこいのだとか。そりゃ嫌だわ。このままの環境が続いたら、娘だっていつか心が折れてしまうかもしれない。これ以上状況が悪化する前に食い止めるにはどうしたら良いか。

ドイツで生活する限り、泣き寝入りして良いことなんて一つもありません。相手にはっきり、かなり強く意思表示をするか、機転を利かせて強いインパクトのあるネタでやり返すか。そうでないとこのドイツではたとえ努力したとしても欲しいものが自分に回ってこない、後回しにされ続ける人生になると言っても過言ではありません。これ、日本国外に出て生活している人ならたいてい経験したことあるのではないかしら…。

んで、娘と息子と3人で、どうやってこの環境を打破するか話し合ったんですよ。まずは相手の男の子の名前をフルネームで聞くと、なんと日本語に直訳してモロにうん子系の意味になることが判明。娘は鼻息荒く「これをあの子に言ってやる!」と息巻いていたのですが、すかさず私は「どうせ言うならクラスの皆がいる前で言った方がいいよ」とめっちゃ大人げない助言をしてしまった。だって後々のことを考えると、娘がそうやって反撃できる人間なんだとジャイ子含めてクラスの皆に知らしめた方が良いじゃないか。そう説明しても、まだまだ蒙古斑も消え切らないピュアな娘は躊躇している様子。

次の日の朝、学校へ行く前に「今日はすっごく楽しい1日になるよ。良いお友達ができて、楽しくて笑っているうちにあっという間に学校が終わるよ」と言葉をかけた。学校で娘が心から笑えますようにと祈りながら。

学校が終わって迎えに言った時、何気なく娘に「今日は学校どうだった?」といつものように訊ねたんですね。そうしたら

「今日、あの男の子に言ってやったよ」と。

おおおおおおお!!!!さっそく言ったか!!やるじゃないか。
2人きりの時に言ったの?と訊ねたら「皆がいる時に言った」と!まじか!でかした!(ほんと大人げなくてすみません)

もうその娘の勇気が嬉しくて嬉しくて。褒めちぎりながら詳しく説明を促したところ、娘はまず担任の先生のところへ行き、例の男の子に「カッカ」と呼ばれるようになった経緯を説明し(さりげなくジャイ子のこともチクった模様)、彼に皆の前で『あなたの名前こそ日本語で“うん子の山“と言う意味になるんだよ』と言っても良い?と許可を求めたのだそうだ。事情を知った先生は「良いわよ。それは是非言ってやりなさい」とGOサインを出し、大きな後ろ盾を得た娘はクラス全員が見守る中、堂々とその男の子に言ってやったんだと。

すげーわ。思った以上に娘ってば策士。良いのよそれで良いのよ、女はそうでなくちゃ。んで、その言い放った後に先生が輪に入り、「よく言えたね!」と娘を労ってくれ、男の子には「今までのことを○○(娘)に謝りなさい」と皆の前で謝罪させたんですって!!!先生サイコー!!

その日を境に娘のことをうん子呼ばわりする子は誰一人いなくなり、新しい友達が一気に増え、休み時間も楽しく過ごせるようになったんだとか。そしてジャイ子とも和解し、今は一緒に遊ぶようになったんだって。よかったね!本当によかったねぇ!勇気を出して偉かったね!てかもう一度言うけど先生サイコー!

それにしても娘ってば、よく先生に許可を取ろうと思いついたよね。完璧な計画じゃないか。…あれ。ここでふと疑問が湧いたので娘に聞いてみた。

「ねえねえ、その男の子の名前が日本語で“うん子の山“の意味になるってこと、もしかして……先生に『お母さんに教えてもらった』とか言った?」

「うん」

でた。

気を取り直してもう一つ質問。「お母さんから『皆の前で言え』って言われたことも先生に話したの?」

「うん」

・・・・・・。

はい、バレました!

先生にバレました!

私の性格バレましたよーーーー!!!

ドイツ語社会では無口で大人しいキャラだった私が着ぐるみ剥がされ気分であります。しかも身内によって。娘はまさか保身のために私を売ったとか…?

まあ、それを察した上で先生が娘の背中を押したってことはあながち間違ったアドバイスでもなかったってことで。先生が娘に体を張って皆の前で対決&解決するチャンスをくれたおかげで、彼女の学校生活は一気に好転したんだものね。

インスタには動画を載せたけど、先日は娘が初めてクラスメイトをうちに連れてきたんです。嬉しかったなあ。とてもやんちゃだけどずっとニコニコしてて可愛い子。迎えにきたお父さんもとても良い方で、久しぶりにドイツ語で話が弾み、やっと小学校の関係で知り合いができて私も嬉しかった。

何よりもその子と遊んでいる時に娘がとても良い顔で笑っていたのが幸せで幸せで。彼女が自分で乗り越えて手に入れた環境。母ちゃんは誇りに思います。

今後もいろんな問題にぶつかるだろうけど。その時に、こうして1歩1歩自分の足で歩いて道を作って行った経験が、彼女の自信になり勇気につながっていくのだと思う。私は彼女の1番の味方として、全力で応援していこう。

てな訳で、悩みのうちのひとつが解決したのであります。

次は息子の進学の件と子供のドイツ語の問題。尽きませんな、悩みは。